小泉大臣の育休の目的は?

2020-01-20 00:00:07 | 市民A
小泉進次郎環境大臣が育休を二週間取得することを発表したのだが、なんとなく釈然としない感じがある。

釈然としない理由は大きく二種類ある。一つは、何のために育休を取るかということ。もう一つは、そもそも大臣にとって休暇はどのようにとればいいものなのかということ。簡単に言うと、普通の会社では社長や取締役は従業員ではないのでそもそも有給休暇という概念がない。いくら休むのも本人の自由なのだ。大臣というのも、そういうものなのではないだろうか。そもそも勤務日数や勤務時間の規定がないのに、育休のことを話すのはおかしいのではないかということ。

まず、一つ目の今回の育休の目的だが、考えられる可能性は、

1.単に妻の負担を軽減するため、
2.不倫疑惑の火消しのため、マスコミの前に出ないため、
3.環境省の中の育休取得を推進するため、
4.国民一般へのパフォーマンス、

目的については小泉大臣の頭の中はわからないので最終解答はないのだが、一般に育休取得が進まない理由は、直属上司が休まないからということなのだろう。

というのも終身雇用制度では、30歳の男性社員の上司というのは、既に育休を取る世代ではないわけだ。環境省では逆に、環境大臣の下にいる政務副大臣、政務審議官といった人たちは、年上で、育休を取るような年齢ではないはず。

また、大臣が休んだからと言って、それを理由にして若手のキャリアが育休をとるのかは大きな疑問がある。そもそも二週間休めるというのは、代わりの人がいるからで、代わりの人がいるということは、自分が唯一無二の存在であるという存在根拠の否定になってしまうわけだ(幻想なのだが)。


大臣の妻は実家にいるそうなので、実際に大臣が休暇中に何をするのかよくわからないが、出生届を出しに行くぐらいだろうか。じっくり時間をかけて名前を考えなければならないかもしれない。

二つ目の話だが、本来、国務大臣の勤務時間はどうなっているのかということ。

まず、どういう身分なのかというと国家公務員は一般職と特別職に分かれる。そしてほとんどの公務員はキャリアも含め一般職なのだが、総理大臣、国務大臣、副大臣、政務官などの省庁のトップ(いわゆる上級国民?)と自衛隊員は特別職になっている。その待遇については、一般職については同種の民間企業を参考にすることになっていて、特別職は一般職を参考にすることになっている(ただし自衛隊員は同種の民間企業がないため別に決める)。

つまり、待遇は民間企業並みということなのだ。ただ、法律をよく読んでも主に給料のことを意味しているようで、休暇日数とか育休を含めた特別休暇のことを規定しているようにも感じられない。さらに、日本の労使関係の決まりというのは戦後からの自民党と社会党の論議の末、法律ではなく多くが判例で決まったようになっているため、あいまいなことが多いわけだ。

しかし、上級の公務員とは異なって国務大臣というのは内閣の一員のわけで、そうなると労働者というより使用者側であることは明らかである。会社で言えば総理大臣が社長で、国務大臣は取締役のようなものだろう。

そう考えると、そもそも大臣は一年間に何日働かなければならないかというような規則の外にいると考えるべきなのだろう。憲法の側から言うと、国会で大臣答弁が必要な時と閣議の時には出席が義務付けられているものの、実際には閣議に出られないときは代理(次官)が傍聴することというルールがあるわけで、欠席は十分に可能だ。つまり、今まででも好きなだけ休めたはず。選挙運動の応援の時は公務外ということになっていたようだが、では公務外の日数(時間数)の上限が決まっていたのだろうか。

さらに言うと、国務大臣は総理大臣が選ぶわけで、「国務大臣選考委員会」があったり、国会で「公聴会」があったりするわけでもないし、「選挙」とも関係がないわけだ。「2週間休みます」という宣言をする先は、総理大臣一人であるわけだ。

一方、総理大臣の側からすると、「働き方改革」の旗を振った以上、「育休下さい!」と言われて「No!」も言いにくいだろうし、多事多難のおり、環境大臣のことなどどうでもいいことなのだろう。