ぼくたちの家族(2014年 映画)

2020-01-30 00:00:13 | 映画・演劇・Video
本来、多数の映画賞をとり、多くの有名人が絶賛している映画であり、単に「すばらしい」というべきなのだろうが、どうしてもそういうように言いたくないような気持ちもある。

というのは、題材は深刻であるのだが、実は日本のどこにでもある問題がどこにでもあるような方向に流れて行って、ありがちな結果になる。



父と母、二人の男児という普通の家庭に不幸が訪れる。母親の病気。突然に医師から脳腫瘍で余命1週間と家族は言い渡され、バラバラだった一家は結束することになる。なんとか助かる道を探し始め、ついに脳腫瘍ではないことが判明し、転院することになる。

ところが、父と母には巨額の借金があり、まもなく子供が生まれる長男は入社して日が浅い薄給だ。さらに長男はこどもの頃に引きこもりになっていて、次男は家に寄り付かなかった。

過大な借金は、どこにでもあるわけではないが、それ以外の要素はどこにでもある。ちょっとしたことから病気になっていることがわかり、バタバタしたり家族の結束が強くなったり。そして最後は全員で旅行に行く(本作ではハワイ)。

監督は、今や幅の広い作風に変貌した石井裕也、父母は原田美枝子と長塚京三、兄弟を兄の方を妻夫木聡、次男を池松壮亮。

つまり、大きな流れとしては「家族の絆」なのだが、底辺に流れる「ひきこもり問題」、「貧困問題」、「医師の誤診問題」が日本の不気味な未来を想起させるわけだ。

なお、原作者の早見和真氏だが、重いテーマの小説が多い。軽い気持ちでページを開いてはいけない著者のような気がする。