決断力(羽生善治著)

2018-12-29 00:00:00 | しょうぎ
2005年7月の発行である。当時四冠だった将棋界の第一人者がエッセイ風にまとめた一冊である。本のタイトルは『決断力』となっているが、特に決断について重点を置いているとは思えない。「決断とリスクはワンセットである」と書いてあるが、将棋というゲームの特性からして、自分の手番になれば、パスすることはできないのだから、いずれにしても何か手を決めて指さないといけない。指せば、その手のせいで負けることもある。しかたないことであり、特に羽生前竜王だからということもないだろう。

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「直感は七割が正しい」とも書かれているが、羽生九段の生涯勝率と同じだ。全部直観で指してもいいということなのだろうか。

そして、決断というコトバにもっと親和性がある言葉が「引退」。この本が出た時には35歳位だったはずなので、そう深く引退のことを考えていないようだが、こういう記述になっている。

たとえば、明らかに力が衰えてきたとか、将棋を指していても内容のある将棋が指せないとか、そういう状況になってしまったら、強制されないとしても引退を決意しなければならない。


また、加藤一二三九段を例にあげ、こうも述べている。

「何が何でも負かしてやろう!」そういう気持ちを持って将棋に打ち込むのは大変なことだ。だから、そういう精神状態が継続できる限りは、将棋を指し続けていくのではないだろうか。


この引用した二つの個所は、実は並列的ではなく次元が違う話だ。最初の部分は簡単に言えば「勝てなくなる」ということ。二番目の例は「勝とうという意思」である。「勝てなくなる」というのは結果としての勝率のことだし、二番目は個人の気持ちのこと。

おそらく、羽生九段は、その二つのどちらかでも満たせなくなった段階で引退するということではないかな、と思うわけだ。


さて、12月15日出題作の解答。

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▲2三桂を早まらないこと。

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今週の出題。

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あるポイントカードを思い出すといいかもしれない。

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