銀座ガラス建築ツアー

2018-04-11 00:00:21 | おさんぽ
世界最大級のガラス会社が知名度アップも兼ね、特にガラス建築が多い銀座通りを中心として見学ツアーを企画している。といってあくまでも建築物の見学であって、その建物の中でブランド品や宝石やその他、何の取引が行われているかは見学対象ではないし、早い話がビルの中には入らないわけだ。

そして、銀座通りを京橋から銀座四丁目交差点に向かって進む。歩行者天国なので道の中央を歩く20人位の奇妙な行進が始まる。レシーバーをヘッドフォンで聞きながら右や左をキョロキョロ見ながら歩く。途中で高校の同級生とすれ違うが、立ち話をするわけにはいかない。電波が届かなくなると大人の迷子となる。

ところで、ガラスにとって最も大敵が地震だ。巨大地震が襲った場合、ビルの窓ガラスは尖った凶器のように地面あるいは地面にいる人間に突き刺さるのだろうか。

実は3種類あるそうだ。1つ目は割れない構造を持つビル。本体構造とは切り離し、ガラスだけが釣られていたり、緩衝材で支えているようなケース。2つ目は、自動車のフロントガラスのように衝撃で粉子状に砕けるケース。そして3つ目は、旧来型のビル。数十メートルの高さから槍衾(やりぶすま)が大谷選手の打球のような速さで地上に落下。プロがよく見ると、違いがわかるらしい。

当日、見学するのは、無論のこと、落ちなく割れないガラスである(ただし、ビルそのものの設計強度を超える強度は考えていない。ビルが倒れたらガラスは壊れることになる。)。

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ツアーの最初は、「KIRARITO GINZA」。ガラスのカーテンウォール方式。ビル本体の外側にガラスの壁が吊り下げられる。最近は多くがこの方式になっているようだ。ガラス面にアルミを霞状に吹き付けてある。

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次は、「POLA」。三階にはMUSEUMもある。入り口に和風の暖簾がかかっている。本題とは関係ないが、会社の大株主の遺産相続で不明朗な事件が表面化しているようだ。ビルをガラス張りにしても、帳簿がガラス張りになるわけではないようだ。

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「銀座YOMIKO」。点支持構法、ガラスカーテンウォール、ガラス床とふんだんにガラスが使われている。一階がブランド店で上階はオフィスビルだそうだ。なんとなく床がガラスのビルというのも怖そうな感じがある。

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「ティファニー・伊東屋・ブルガリ」。ガラスビルが三本並んでいる。ティファニーは一枚一枚のガラスの傾きが異なっていて、特に夜間の景観がドラマティック。設計者は後に国立競技場を手掛けることになる。伊東屋ビルは3本の中ではもっとも幅の細いビルで、ダブルスキン方式といって、壁とガラスの間に空間があり、熱効率に優れている。細長いため倒壊防止の為に五重塔と同様の心柱方式が使われている。ブルガリは世界各国の店舗の中で銀座タワーが最大面積だそうだ。モダンエレガントというコンセプトだそうだが、個人的にはブルガリがエレガントなのだろうかと考えてしまう。なお、伊東屋とブルガリの高度は56mと中央通りの制限高度いっぱいである。

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「MIKIMOTO」。MIKIMOTOは銀座に二つのビルを持つ。ガラス張りの方の第一ビルの細かなデザインは、三重県英虞湾のさざ波をイメージしたのだろう。第二ビルの方はマロニエ通りに面し、壁にランダムな開口部が散りばめられた大胆な前衛的なデザインである。空爆を受けた後のガザ地区の病院のようにも見える。

昨年、メラニア大統領夫人を昭恵首相夫人が連れて行ったのは第一ビルの方だが、真珠を買わせることで真珠湾攻撃を帳消しにしようとした日本政府の策略を見破り、買い物はしなかったそうだ。断る勇気を首相夫人に教えようとしたのかもしれない。単にホテルに財布を忘れてきたのかもしれないが。

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「東急プラザ」。銀座の入口ににぎやかなデザインのビルがある。この形は「江戸切子」がモチーフだそうだ。光の器がコンセプトで、多様な文化、人、コト、情報を器に入れ、創造的な発信をしようと意図している。この建物の裏にあるのがアルマーニ小学校。

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「東京国際フォーラム」。銀座から少しははみだすが、旧都庁の跡地にあるコンベンションセンター。半分がガラス張りの建物である。設計段階で問題になっていたのは、構造上、温室そのもののため、冷房をどうするかという問題。ガラス棟の方は空間が大きく、ビルの収益上の付加価値が低いということもあり、地上の人間がいるところだけに冷気を吹き出すことにしているそうだ。一階には太田道灌像があり、最上階には中華料理店がある。

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ツアー終了だが、ガラスとは関係なく番外で気になるビルがあった。銀座一丁目の田中貴金属店。「金取引の代表業者」だ。ビルの上階部を金網で囲っているように見えた。思うに防犯上の理由なのだろうか。