シセイドウ アート エッグ

2017-06-25 00:00:59 | 美術館・博物館・工芸品
銀座資生堂は、資生堂グループのHPによれば、現存する日本最古の画廊ということだそうだ。1919年にオープンということで、もうすぐ100年だが、もっと古い画廊は残ってないのだろうかと気になる。資生堂という会社が抱えているからなのだろうか。個人の画廊なら100年というのは、親子孫ひ孫の四代が引き継がないと続かないが、だいたい三代目あたりで崩壊するのだろうか。

銀座の資生堂は何か所かに建物があったのだが、再編成されて、ギャラリーは資生堂ビルの地下に広い空間が確保された。

現在開催中の「アートエッグ」という企画は若手のアーティストを応援する目的だそうで、今回は3名の方が対象で、第一弾が吉田志穂さん。1992年の生まれというから相当若いが、この方のホームプレースは「写真」。

実は、写真というのは19世紀の後半に登場してきて、最初は報道、個人の肖像などに使われ、その後、戦争用(上空からの写真とかスパイの盗撮とか)に使われ、ドイツを米国が凌ぎを削った結果、カメラはドイツ、フィルムは米国という奇妙な結果になった。

いずれにしても、対象物を正確に捉えることが優先課題だったために、どうしても芸術の世界に持ち込むと堅苦しいことになっていた。表現の自由度が絵画に比べて少ないと思われる。現実を抽象的に写すことまでは可能だが、抽象的な概念を写真で表すことは簡単ではないだろう。

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そういうところを打破するということに挑戦した作品群が並んでいる。平面ではなく、壁のコーナーみたいなところを使うというのは、どういうものだろうか。

初夏だというのに、会場はきわめて涼しく快適そのもの。明るさも抑えられて目の保養という古い比喩がピントピタリという感じだ。

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個々の作品の批評などはとてもできないが、確か「砂の下のクジラ」というタイトルだったと思う。氏の故郷の海村に打ち上げられた迷いクジラを骨格標本として保存するために、海岸の砂の中に埋めたそうだ。1日、1日と生物から無機物へと変化していく鯨を思った作品のようだ。

アートには関係ないが、海に戻れないのはかわいそうな気がする。予算の関係とかで、やはりそのままにしておこうということになると、海でもなく陸でもない砂浜というところに骨を埋めることになる鯨。

ところで、ケースの中の砂浜状の物体は、本当は指を入れて砂の中を確認したかったのだが、撮影自由の会場内でも、指で触ることが許されるわけではなく、係員の視線を確認したものの思いとどまる。

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なお、よく展示会場で登場するスライドの自動映写だが、その装置が露出していた。数十枚のスライドが自動的にある秒数でひとこまずつ回転するようだ。これでエンドレスに映写できるわけだ。あまりにアナログなので、ちょっと驚く。(たぶんデジタルアルバムみたいなのが普通なのだろうか)