東宝スタジオ展(世田谷美術館)

2015-03-15 00:00:49 | 美術館・博物館・工芸品
世田谷美術館で開催中の『東宝スタジオ展』(副題:映画=創造の現場)へ。

美術館の近隣(約2Km)にある東宝砧スタジオをテーマにして、東宝というより日本映画の歴史を回顧することになる。

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東宝が生まれたのが1943年。東京宝塚の略だろう。砧スタジオはそれ以前から写真科学研究所(PCL)として1932年から使われている。トーキーの時代からだ。

戦後、多くの映画監督が東宝に入ったり出たりしていった。

そして東宝にとって史上最高の年が1954年だった。二つの大ヒットを生む。

「ゴジラ」と「七人の侍」。ある意味、ゴジラと三船敏郎と言い換えてもいい。まったく別路線でヒットが始まる。東海道新幹線と東北新幹線が同時開業したようなものだ。

美術館の中にはゴジラセットが組み立てられている。今思えば、水爆実験が堂々と行われていた時代で、その水爆実験の結果うまれ生物が地球を破滅させるというのは、おおいに暗喩的表現だったということができる。

また、一室では、戦後から現在までの名作の「予告編」を連続上映していて、実は1時間以上、その予告編を見ていた。そのうち、三船敏郎のあと東宝を支えたのが加山雄三ということがわかってきた。その後継者は、やや不明だ。加山雄三が若大将になってしまったのが東宝の戦略ミスのような気がする。若大将以前はさまざまな役をこなしていたのに、一つの固定概念の中にスターと押し込んでしまったわけだ。

実際、現在の映画は、屋外ロケに出て撮影することが多く、スタジオはテレビドラマの制作に重宝されているようだ。

まあ、監督と役者とスタジオがあれば、なんとか日本も良い映画を作り続けることができるのだろうが、どれが最も重要なのだろう。