「ならずもの」棋士

2015-03-28 00:00:28 | しょうぎ
電王戦ファイナルの第2局は、棋士(永瀬六段)が、88手目に「角成らず」の王手をかけた後、コンピューターが王手を無視して次の手を指したため、反則負けとなった。

ソフトを作った人間のミス(というか先入観)によるものなので、人間とコンピューターの戦いで人間が勝った、とは言えないわけだが、このあたりの話は難しい。

ソフトは事前に対局棋士に提供されるルールになっているため、永瀬六段は、このバグに気付いていたそうだが、実戦の時に改造されているのではないかと、若干の疑いは持っていたそうだ。

そうなると、バグという重大な秘密の暴露をいつ決行するかということになる。さらに、団体戦のまだ2試合目だ。この先3試合ある。他のソフトに同様にバグがあるかどうかは不明だが、全部バグがあるとなると、企画そのものが破たんする。飛車とか角で成らずの手をかけることなど、かなり簡単だが、それでは将棋とルールが異なるゲームだ。

しかし、個人的には勝たなければならない。とすれば、いつ決行するかということになる。

まず、チャンスがあれば、すぐ決行ということがある。本局でも18手目に8八角成という手があり、そこでチャンスあったが、見送り。たぶん、早すぎると、本局自体が指直しになるという危惧があったのだろう。さらに本人は「セコイ奴」と思われたくないだろう。たぶん、決定的に有利不利が傾かない局面で自然な形で登場させたかったのだろう。なにしろ、バグが修正されていれば失敗に終わるし、後でクレームしても負け犬の遠吠えになる。

そして、中盤に決行できず、ずるずる敗局に近づいた場合には、一発逆転の必殺鬼手を狙っていたかもしれない。もちろん、成功しても失敗しても笑いものになるだろうが。

ところで、角ならずという手を指したことがある。県の中学生大会の1年の時の2局目。1局目で負けたため後がない状況で、例の飛車の斜め下に角を打って、自陣に引いて馬に成るという手で、成り忘れた。指が離れていたので、慌てて駒を裏返すと、「待った」の反則負けとなる。実戦は、その角がやっとのこともう一回敵陣に入って勝ったのだが、その時に反則負けを喫していたら、その後、将棋をやめただろうから、今、詰将棋を作っていたりはしないだろう。しかし、「成らず専門」の詰将棋を量産したかもしれない。


さて、3月14日出題作の解答。

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駒がさばききれずに残ってしまうが、・・・まあ・・・

動く将棋盤は、こちら


今週の問題。

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最初と最後は、すっきりした手だが、途中はごちゃごちゃとなる。わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と総手数と酷評を記していただければ、正誤判断。