ツィゴイネルワイゼン(1980年 映画)

2015-03-05 00:00:52 | 映画・演劇・Video
鈴木清順監督作品。内外の多数の映画賞を受けたことは知っていたが、こういう映画とは知らずに観ていなかった。

全編を通じて支配するのは、妖気、エロス、不条理。全くタイプの違う二組の夫婦。盲目の旅芸人、次々に亡くなっていく登場人物たち。幻想かリアルか。

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一組目の夫婦は故原田芳雄と大谷直子。大谷直子がスペイン風邪で亡くなると、後妻で登場するのが大谷直子。このあたりから映画は混迷しているのだが、まだ理解可能の世界である。もう一組は故藤田敏八と大楠道代。(関係ないが、この二人はどちらも戦後の引揚組。釜山と天津。)

そして、実はこの映画を観ていると徐々に体温が下がっていく。体感温度では、半分の1時間経過時には体温は34度位になっている。不気味な映像や不気味な音響効果のせいだ。

そして後半になるとさらに、筋立てが怖くなる。悲運なできごとが続く。そして得体のしれない妖怪が映像を支配しているように感じ実感体温は30度まで下がる。そして最後の最後に至り、もしかしたら藤田のこどもかもしれない未亡人大谷直子のこどもが三途の川の川岸で藤田を待つ。生きているものは本当は死んでいて、死んでいるものは本当は生きているということになる。ここで体温は一気に25度に下がってしまう。

つまり米国映画「シックスセンス」みたいになるのだが、それでは映画のどこで、生と死が入れ替わったのか。思えば結核で亡くなる寸前の義理の妹が何年間もいつまでも登場しているし、漠然とした疑問を感じていたのだが、もう一回最初から観ると、冷凍人間になってしまいそうなので、野暮な詮索はやめておく。(悪夢)