こういうピケティの読み方があるらしい

2015-03-16 00:00:03 | 市民A
トマ・ピケティの「21世紀の資本(LE CAPITAL)」については、5,940円という高価本であり、またその内容が大きく報道されていることから、読まなくてもだいたいわかってしまうという奇妙な状況になっている。署名の翻訳は「21世紀の資本」となっているが、原語の書名は、カール・マルクスの「DAS KAPITAL」を意識しているのだろうから、少なくても「21世紀の資本論」の方が良かったのだろう。

そして、本書のキモは

   r>g

歴史的に、いつの時代も、資産の収益率(r)が、所得の伸び(g)を上回っていて、これによって富を持つ人とそうでない人の格差が拡大していく、という理論である。

自分なりに言い換えると、財布に1000万円入れて競馬場に行くのか10万円で行くのかという違いのようにも感じる。

それで、普通の感覚だと、資本主義では不平等が発生するのが不可避的であるので、租税制度や補助金制度などを政府が行って、貧富の差の拡大を補正する必要がある、ということになるのだろうが・・・

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ところが、さすがにプレジデント誌は、思いもよらない切り口でピケティに迫っている。3月16日号だ。「お金に困らない 世界初!ピケティ実践講座」と特集している。

まず、プレジデント誌は、「r>g」を肯定的に捉えている。豊かになるなら、「g」側の人間になってはいけない。「r」側にいなければ(ならなければ)いけない、という論理である。まあ、「r」はけしからないなんて考えること自体が貧乏くさい、ということだろう。

といっても、もともとお金のない人はrの方に行けないじゃないの、と思うのが普通だが、rは、資産と言ってもおカネだけじゃなく、個人の能力も含まれるということ。体力が余っている人でプロスポーツのヒーローになる人は「r」。建設現場で体力を切り売りする人は「g」。頭が良くても、一技術者にとどまる人は「g」で、起業して一山あてるのが「r」ということらしい。

例えば、

稼ぎ方。
 r=不労所得大歓迎
 g=不労所得は後ろめたい

仕事
 r=成果を出すのが目的、売る仕組みを考える
 g=残業代を稼ぐのが目標、熱意と気合で売る

組織
 r=経営者を目指す、行きつけの飲食店を作る
 g=従業員で満足する、飲食店選びはこだわらない

不動産
 r=自宅は貸すことも考えて買う
 g=無理しても夢のマイホーム

収入
 r=「内容や質」で決まる
 g=「時間」で決まる

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ピケティ先生も、世界中の統計を集めて集計していた頃は「g型人間」だったのかもしれないが、本書を世界中で売りまくって、講演旅行を始めたのは、「r型人間」に変貌したからなのだろうか。カール・マルクスは逆に「資本論」を書いて、rからgになってしまったということなのだろうか。