アール・デコ 光のエレガンス

2012-07-29 00:00:14 | 美術館・博物館・工芸品
汐留のパナソニック汐留ミュージアムで開催中(~9月23日)の『アール・デコ 光のエレガンス』展へ。

まず、さすがにパナソニックであると言えるのは、この猛暑なのに館内の冷房がガンガンと効いていること。やはり、芸術鑑賞にはのんびりとした空間が必要ということだろうか。

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さて、アール・デコだが、アールは英語でアートつまり美術ということで、デコはデコレーション。つまり装飾美術ということになる。ずいぶん簡単なネーミングだが、アール・ヌーヴォーだって、「新美術」。1900年頃にそういう名前が使用済みになったので、その後の美術界はネーミングに窮してしまう。もっとも音楽だって、「現代音楽」が100年以上前だったり、経済学だって「新新古典派」なんて、とんでもない用語があるし、「新幹線」とか「新日鐡」なんかもある。

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ずいぶん横に行ってしまったが、後期アール・ヌーボーの発展形で、美術館の中にしかなかった美術品が高級品ではあるもの日用品として市民の手に渡っていく過程が、アール・デコだったのではないだろうか。

第一部では、ガラスを用いた照明器具を中心に展示。柔らかな曲線とエジプト文明を起源とするシンメトリックの感覚を、20世紀初頭人が手に入れた自由な照明に怪しいカラ―が暗い会場を妖艶に彩る。

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第二部では、陶器や石材といった硬質な素材を用いた工芸品の世界。照明器具ではエジプト妙味であったものが、工芸品ではギリシア風が主流である。デザインのギリシア風のみならず、ギリシア神話をモチーフとした作品も並ぶ。こういう感覚は日本からは生まれない(過去にとらわれないのがクールジャパンの世界なので、それでいいのだろうけど)。

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第三部は、アール・デコ界のスーパー・ヒーローであるルネ・ラロックを中心としたエリア。思えば、アートが工業製品に組み込まれていったのは、この頃からなのだろう。自動車、照明、食器。・・・

自宅の天井に取り付けられたシャンデリアもどきも、まさにここからの流れの中にある。松下電工製。あと100年使えば博物館入りかもしれない。消費電力360ワット。1日6時間100年使うと、電気代は今回の値上げを織り込むと200万円程度になる。