河出書房新社からの文庫本だが、これがなかなかおかしい。
有名過ぎる場所は、徹底スルーだ。
たとえば、千代田区の名所といえば、なんといっても皇居(江戸城)とか二重橋、国会議事堂ではないかと思うのだが、本書で取り上げるのは、次の四か所。
玄武館跡(千葉周作の名が轟いたマンモス剣術道場)
ニコライ堂(日露戦争中も祈りを続けたロシア正教教会)
将門の首塚(ビル街に佇む心霊スポット)
桜田門(多くの事件の舞台となった)
つまり、B級名所ということ。A級は、みんなが行っているからだろう。
文京区の牛天神というのも妙なものだ。本当の名前は、「太田神社」。わたしのハンドルネームと同じだ。何を祀っているかというと、なんと、・・・
「貧乏神」。
とんでもないものを祀るものだ。由来は、太田という旗本は、長い間、貧乏暮らしを強いられていたが、ある夜、夢の中に貧乏神が現れて、「長い間、お世話になったが、これから立ち去ることにする。ついては、長い間のお礼に福を賜ろう」ということになり、その後、この神社は「貧乏神さま、どうぞ我が家からはご退出ください」という祈願を立てるものが増加したそうだ。
うかつに近づくと、貧乏神に乗り移られそうなので、ちょっと怖い。