映画『UDON』、観るのが遅すぎだった

2009-03-03 00:05:19 | 映画・演劇・Video
udon香川県から帰ってきてから、「うどん映画」を観るのでは、まったくの手遅れだ。

ユースケ・サンタマリアと富士真奈美が主演である。実家のうどん屋を飛び出し、ニューヨークでコメディアンを目指した末、失敗して帰国した若者と小説家志望でありながら、妙な妥協を続けて高松のタウン誌の記者をしている女性が、ちょっとしたきっかけで、「うどん」を取り上げ、地元にブームを作る。

香川県はうどんの本場といっても、900軒もある製麺所(うどん直売所)のことを全部知っている人はいない。地元の人でも、いくつかの「マイうどん屋」を知っているということだ。さらに、高松を訪れる観光客も、どこに行けばうまいうどんが食べられるか、さっぱりわからない。そこにビジネスチャンスがあった。

そして、軽妙なコピーで、タウン誌はどんどん売れまくり、全国から香川県にうどんツアーが押し寄せる。二人は香川県のスターになっていくのだが、ブームはやがて去る。人気店のうどんは、いつの間にインスタント製法に変わっていき、心ない観光客で街は汚れてしまう。そして、タウン誌は廃刊。

そして、コメディアンの道を諦めかけた若者は、実家の製麺所を継ごうと決意するのだが、まあ、そうはならないわけだ。

映画は、きっちりと完璧に作られていて、その完璧さに戸惑うところもある。なにしろ、うどん屋の話である。本広克行監督は結構、こういうきちんとした表現をするなあ、と思って調べてみたら、実は、香川は丸亀の出身。さらに実弟が、この映画のために脱サラしてうどん修業したそうだ。そして映画の中と同じ名前の「松井うどん店」を営業しているそうだ。兄の七光りだ。

ただし、修業をしていない普通の人には、うどん屋経営は無理だろう。確か、坂出市祖母孫3人殺人事件の被害者もうどん店経営に失敗したことによる金策が事の起こりだった。


そして、映画の中の話だが、製麺所で麺を食べるためには、「マイどんぶり」を持参しなければならないそうだ。過去、高松でうまいうどんを食べるために、タクシーに乗って、「うまいうどん屋に」と言うと、タクシー代3000円の山奥に連れて行かれたことがあったが、どんぶり持参でタウン誌を探せばよかったわけだ。

udonところで、高松では、うまいうどんにありつけなかったのだが、ある場所で妙な菓子を発見した。

「さぬき あげうどん」。うす口の「かっぱえびせん味」。あっさりしていい、という人と、かっぱえびせんの方がいい、という人とに分かれるだろう。どうみても、うどんを素揚げしたものだ。製麺所で、売れ残ったうどんを天ぷらの揚油の残りに、さっと通せば完成。燃えるゴミが食品として再生。ビールのおつまみにいいと思う。