春の椿事

2009-03-31 06:31:30 | 市民A
最近、ちょっとした小事があって、まさに「春の椿事」という言葉がぴったりと思っていたのだが、その小事の前に、『春の椿事』という言葉で引っ掛かってしまった。

『椿事』というのは、珍しいことを意味して、「珍事」という言葉とほぼ同意語なのだろうが、自分的には「珍事」より「椿事」の方がやや高級なできごとのような語感を持っていた。

無意識下では、「春にツバキが咲くような珍しいことを指す」のかと深く考えていなかったのだが、実際、ツバキは春に咲くわけだ。さらに漢字だって、木偏に春ではないか。これでは「春に椿事」では、正しい時期に正しいことが行われる喩えになってしまう。さらに「夏の椿事」とかは言わない。椿事は春にこそ起きるわけだ。

あれこれ、辞書やネットで調べたり1週間もしてしまったのだが、結局、わからずじまい。あまり、それっぽい説も見当たらない。多いのは次の二つの説。

A.「珍」の当て字という説

B.「想像上の椿の木は樹齢数万年の長寿で、めったに咲かないため、花が咲くこと自体が椿事である」という説

どこにも書かれていないが、私の仮説

C.元々は「春の椿事」ではなく、「春でもないのに椿事」だったのではないだろうか。春でもないのに、椿が一輪ぽっと咲くこと。そのうち、意味が変わっていった。

そして、話をすっかり元に戻す。

時々、電車の中でメークをする女性がいる。だいたい20代である。10代ではそういう根性はないだろうし、30代になると、メークも念入りにする必要があるからだろうか(余計なお世話か)。

その電車内のメークというのも、遠くから観察すると、だいたい最後の段階ということが多い。太いメークブラシでパウダーを撒き散らすのは、「ぼかし」のテクニックだろうか。隣の席に座ると、粉が飛び散って嫌だろうなあ、と思っていた。

そして、ある確率で電車の隣の席の女性が粉を撒き散らす可能性があるのはわかっていたが、今までそういう機会はなかったのだが、先日、椿事が起きる。


朝の通勤の時、社用があって、別方向の車両に乗る。東京方面ではないので、ちょうど乗客数と座席数が同じ数くらいである。たまたま、終点が5駅先の電車がきて、空いている席に座る。そして一駅。隣の乗客が降りて、代わりに女性が乗り込んできて座る。

そして、ブラシを取り出して、・・・

粉っぽいわけだ。花粉症なので鼻に刺激があるのは嫌なのに。そして、次の駅につくと、あっという間に小道具を片付けて、降りていってしまった。一件落着。

だが、・・

隣の席に代わりに乗ってきたのは、別の女性である。そして、・・

そして、ブラシを取り出して、・・・

粉っぽいわけ。匂いも違うわけだ。みなさん、忙しいわけだ。ほんの数分の作業なのだから、早く起きたらいいのに。と思っても言ってもしょうがないし、・・

そして、その女性も、あっという間に次の駅で降りていった。

だが、次の駅で乗ってきた女性が、またも隣の席にすわって、またも小道具を取り出したわけだ。

向かいの席の乗客たち、密かに失笑の図である。


しかし、まったく発展性のない話である。