那須与一とミサイル撃墜の話

2009-03-02 00:00:10 | 市民A
確か2月27日の午前中、Yahoo!やMicrosoftのポータルでは、あるニュースが登場していた(毎日?)。メモやコピーしなかったので、はっきり再現できないが、『北朝鮮がミサイルを発射した場合、日本政府は撃墜を検討しているが、重大な政治問題に発展するだろう』という主旨で、具体的には、イージス艦から発射するSM3と国内数ヶ所に配置されたペィトリオット(PAC3)による迎撃のことが書かれていたように思う。

そして、午後になると、これらの記事は、まったく最初から存在しなかったかのように、消えてしまった。

配信元が自主的に消去したのか、あるいは裏から手が回ったか、どちらかだろう。やっと産経の記事を発見した。

防衛省 北ミサイル迎撃検討 MD導入後、初の実運用へ 2009年2月27日(金)08:05

北朝鮮が長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の改良型を日本に向けて発射すれば、ミサイル防衛(MD)システムで迎撃する検討を防衛省が始めたことが26日、分かった。迎撃するのはイージス艦に搭載した海上配備型迎撃ミサイル(SM3)と地対空誘導弾パトリオット(PAC3)で、導入から初の実運用となる。ただ、迎撃は重大な政治決断を伴うため、首相官邸などと慎重に調整を進める。

政府は平成15年、米国が開発したMDシステムの導入を決定した。MDによる対処は二段構えで、まず海上自衛隊のイージス艦がSM3で大気圏外で弾道ミサイルを撃ち落とし、失敗した場合は航空自衛隊が地上で運用するPAC3で迎撃する。

海自はSM3を搭載したイージス艦として19年度に「こんごう」、20年度に「ちょうかい」を配備。空自も19年3月に入間基地(埼玉県)へPAC3を配備したのを皮切りに、昨年3月までに首都圏の4カ所に配備を終え、26日には岐阜基地にも配備した。

こんごうは19年12月に米ハワイ沖で発射試験に成功したが、ちょうかいは昨年11月、より難易度の高い試験に失敗。空自は昨年9月、米ニューメキシコ州でPAC3の初の発射試験を行い、模擬ミサイルの迎撃に成功している。

北朝鮮が18年7月にテポドン2号を含む弾道ミサイル7発を発射した際、自衛隊は迎撃システムを備えていなかった。こんごうとちょうかいの2隻も日本海と太平洋側に展開したものの、弾道ミサイルの探知・追尾だけが任務だった。

テポドン2号改良型の迎撃に踏み切る場合、MDシステム導入で自衛隊法に新たに規定した「弾道ミサイル等に対する破壊措置」を初適用することになる。

破壊措置には、(1)燃料注入など発射の兆候がある場合、防衛相が首相の承認を得て自衛隊の部隊に迎撃を命令(2)明確な兆候はないものの、ミサイル実験などへの警戒が必要な際、防衛相はイージス艦などを展開させておき、あらかじめ作成された「緊急対処要領」に沿って迎撃する-の2つの運用方式がある。

北朝鮮は24日、実験通信衛星「光明星2号」の打ち上げ準備を行っているとの談話を発表。人工衛星発射を“隠れみの”にテポドン2号改良型を発射してくる可能性が高いため、迎撃に向けた政治決断とともに、どちらの運用方式で迎撃を命じるかも今後の政府内の調整の焦点となる。


まず、本土に向かって飛んできた場合、ペィトリオット(PAC3)発射は当然だろう。欠点は、拠点数が少ないこと。

問題は日本海上空でSM3を発射する場合だ。何しろ、ぐずぐずする時間はない。ミサイルか人工衛星か見極めることは難しい。さらに日本が狙われたのか米国が狙われたのか、よくわからない。

よくわからないものは、迎撃しないという考え方もあるし、念のため、落としてしまおう、ということかもしれない。さらに、撃墜実験に失敗しているが、外してしまったら、それこそ国内的には批判が集中するし、対外交渉では、おさまりがつかなくなるだろう。


いずれにしても、「政府が迎撃を検討中」というのでは、何か「挑発行為」のように聞こえるわけだ。「打てるつもりなら打ってみろ!」というわけだ。

ここで、思い出すのが、源平合戦の時の那須与一。平家は船の上の女官に扇を振らせて、「当てられる自信があるなら、当ててみろ」と挑発させた。

結果は、・・


もっとも、防衛網を見せつけ、ミサイルを落とせるようにすることにより、逆に、「オレのミサイルに当てられるなら当ててみろ」なのかもしれない。

ところで、撃墜のことを考えていると、今の首相はクレー射撃で五輪に出場したことを思い出した。発射しそうである。