棋士怪々な棋士会の奇々怪々

2009-03-28 00:00:41 | しょうぎ
4月1日から、棋士会ができるそうだ。最初に「?」と思ったのが、中原誠16世名人の引退の時の報道で、「4月1日から70歳まで名誉棋士会長に就任」ということだった。

では、棋士会って何?ということになる。

残念ながら、連盟のHPには何も書かれていないし、「週刊将棋」にも書かれていない。中原引退報に書かれた情報では、棋士会長は谷川氏。副会長は清水さんのようである。珍しく、女性を立てている。引退した中原氏が会員であるところからして、現役棋士だけでなく引退棋士も含まれているようである。任意参加なのか強制参加なのかは不明である。

ところが、日本将棋連盟という組織は、公益法人である。さらに社団法人なので、構成員(社員)は棋士全員である。棋士というのは女流棋士を含まず、引退棋士を含んでいる。そして、この公益法人は平成25年11月30日までに、組織をなんとかしないと、解散ということになるのだが、当面は、男性棋士全員が参加する社団法人日本将棋連盟という組織があり、男女の棋士(含む引退棋士)が参加する棋士会という二つの組織ができることになる。

普通、こういう話は、「理由(原因)」と「結果」という形で、合理的なニュースとして報道される。日本は資本主義の国なので、たいていは、「時代の変化に対応して収益を確保するために、新しい組織になる」ということが多いが、何しろ、公益法人というのは、行動の動機がよくわからない。漢字検定と同じように、営利事業を行うために公益事業を食い物にしたりするからだ(漢検も営利事業と公益事業をきちんと分離して、払うべき税金を払っていればよかったはずだ)。

それで、棋士会だが、何のために創立されるのかよくわからない。その背景について、いくつかの可能性を、単に個人的に推測してみた。

1.単に中原氏への引退慰労金(推論1)
  15期も名人を取った名棋士が、フリークラス定年(65歳)まで、負け星を重ねながら対局料を受け取ることの将棋界としてのかっこ悪さを晒さないように別ポストを設定した。普通、名誉教授とか「名誉」がつく場合、永久的な称号なのだが、定年が設定されているということは、有給なのだろう(源資は?)。
  ただ、それにしては、おおげさすぎる。

2.一般社団法人、あるいは普通の株式会社方式になった場合の棋士の受け皿(推論2)
  新組織が、普通の会社のように、取締役と社員というような形になるか、単に、棋士以外が作る組織(例えば、今の連盟職員だけとか)だけのスリムな形になり、棋士はまったくのフリーの個人事業者という形になった場合、「連盟」の組織と対立的に「棋士」の組織が必要になる。いわば労働組合的な団体が必要となる。ただし、そういう性格の組織だと、役員は選挙で選ぶことになる。

3.谷川会長立候補阻止の代償(推論3)
  昨年、一昨年の棋士総会のときに、あたかも棋士代表のような演説を行って、若い棋士の支持層を固めたと思われていたのだが、そうなると、当然、今の会長の椅子がなくなる。あるいは、現会長やN上皇がコントロールできる新会長を考えているのかもしれない(ガス抜き)。とりあえず、関西の大物が東京に転居すると、関西会館の重要性も低下するだろう(時機は悪いが)。

4.女流棋士分離論破綻の修復工作(推論4)
  つい、最近まで女流棋士を新組織に移そうとしていたようだが、棋士会の副会長が女性ということは、分離工作不調となり、その後のバトルをおさめようとしているのかもしれない。といっても、社団法人の方に加えると、今までの面子もあるので、別の非公式組織を作って、そこで平等感を醸し出すという策。ただし、正式な組織ではないと、健保とかの問題は解決しない。それに「女流棋士会」というのはどうなるのだろうか。そちらも谷川会長だし。

5.棋士総会の権限を空虚化するため(推論5)
  重要問題が、棋士総会での棋士の多数決で決まるため、強豪棋士も弱い棋士も同じ一票である(社団法人だから)。理事会の選んだ一部のスター棋士だけで、問題解決を行おうという作戦。ただし、社団法人でありながら、それは無理だろうと思う。


ざっと、思いつくだけで、いくつかの可能性を羅列しただけなのだが、やはり、「棋士のための組織論」ということなのだろうか。近く、表面的に発表される理由はともかく、いずれ、組織の本質は明白になっていくと思われる。

さて、3月14日出題作の解答。



▲4二金 △同金 ▲5一飛 △同玉 ▲5二金までの5手詰。

普通は、▲5一飛から読むのだろうけど、手数が5手というのがわかると、すぐにわかってしまう。

短手数でも豪快にという、コンセプトである。

短い手数の問題は、どうしても盤の端を使いがちになり、さらに同一作と類似作ということになりがちなので、新味に苦労してしまう。

動く将棋盤は、こちら




今週の問題だが、最近、軽量級問題を続けたので、中量級問題。大きなヒントを一つ書くと、「16手目注意」である。これだけで、嫌になるかもしれないが、なかなかナイスな手なので、是非、発見していただきたい。

わかった、と思われた方は、コメント欄に最終手と手数と酷評を記していただければ、正誤判断。