こども工芸館?

2008-07-27 07:09:20 | 美術館・博物館・工芸品
eff726ad.jpg東京竹橋の近代美術館工芸館では、所蔵作品による「こども工芸館・装飾」展が開かれている。「こども工芸」というのだから夏休みの作品展のようなものか、とまったく方向違いの勘違いをしていた。先日、自分が小学生の頃の表彰状多数を実家で発見したのだが、美術館関係では、市の夏休みの宿題展の表彰状が、大量に発掘された。全然、記憶にないのもどうしたことだろう。

ともかく、「こども工芸」というのは、こどもの作品ではなく、おとなとこどもが共同で工芸の中でも「装飾(デコ)」について、考えたり、一緒に実演で創ったりすることを指すようで、展示されている作品の数々は、工芸館に所蔵された「オタカラ」の中からのセレクションである。

そして、美の概念は、時代とともに変化するのは自明だが、特に最近は「デコの美」が「機能の美」を凌駕している、ということらしい。例えば、「デコ携帯」と呼ばれる、きらびやかに装飾された携帯電話である。展示品を眺めてみると、確かに、現代は、日本の美術史にかつてなかったように、工芸品のデコ化が進化している。緻密なデザイン。精巧な技法。怪しげな光沢。特にこの20年の間に、日本の工芸品は装飾の世界に突入しているようだ。

eff726ad.jpgそして、いくらここに書いても、美しさを伝えることはできないので、デコの話はおいておく。

この工芸館には、いわゆる大家の部屋がある。たとえば陶芸家松井康成やガラス工芸の岩田藤七。吹きガラスに色ガラスや金をちりばめ、再現性のない刹那的妖光をガラスの中に封じ込めている「ガラス飛文平茶碗」は、岩田藤七作。


ところで、この部屋に、数年前から異端の作家の作品が登場している。

四谷シモン。

「解剖学の少年」。人形作家である。1944年生まれ。64歳になる。かなり以前だが、愛読小説家の金井美恵子氏が自著の中で、四谷シモンを絶賛していたことがあり、それ以降、若干、気になっていた。数十年前に荻窪か中野(?)で個展に行った記憶がある。彼のような異形の作家が、「大家の部屋」に場所を得るということは、「近代美術館の進歩なのか、四谷シモンの堕落なのか」、いずれの当事者でもないので、よくわからない。

eff726ad.jpg何の因果か、竹橋で四谷シモン作品に出くわしたのだが、数十日前にもある場所で彼の作品に異常接近していた。

場所は、四国、坂出市。とある仕事で坂出市内某所に行ったあと、タクシー代をケチって、坂出駅まで徒歩数十分歩いているうちに、道に小迷いし、市街地の一角にある鎌田醤油という地場醤油工場の敷地内に、堂々「四谷シモン人形館」なる美術館があることを偶然に発見した。

そして、迷わず入館しようとしたのだが、残念ながら、その美術館は、火・木・土の週三日営業。ちょうど谷間の日だったわけだ。


こうして、全国のあちこちに、将来、再訪したい行き先が次々と溜まっていくわけだ。


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