減音商品

2006-02-02 00:34:28 | マーケティング
96c7e5a8.JPG「減音」というテーマの商品は、とりあえず狭い日本以外あまり役に立たないかもしれない。

しかし、マンションでピアノ教室を行なう人は「減音(遮音)ルーム」が必要だし、ディーゼル車のエンジン音は車内に対しては静かになったと言え、車外に対しては相変らず戦車のような音であり、日曜の早朝にディーゼル乗用車でゴルフに行く人は、近所の大顰蹙だ。インターネットが普及したため、どこの事務所でも電話でしゃべる人もいなくなり、小さな音がカチャカチャ聞こえるだけだ(それにメールの8割は仕事とは無関係)。

一方、消音技術というのも色々難しいものがあって、ハイブリッド車などモーターで動くときはほとんど音がしない。さらに燃料電池車など、まったく音がしないから、人工的に音を作らなければ歩行者は危険だ。携帯で撮影するときに盗撮防止にシャッター音を設定してあるのも同様だ。英語耳を作るために、というマジックリスニングという装置があるが、付属のヘッドフォンは耳全体を覆うほど大きく、聴力検査のように、外の音はまったく聞こえない。これも日常的には不便である。

かなり以前に、クルマのメーカーが使っていた技術なのだが、車内の騒音レベルを引下げるため、実際の音源の波動をとらえ、その逆位相の音を発生させ騒音を消す装置があったのだが、最近は使っているとは聞かない。もしかして、実相と逆位相の音が時間的にズレると、奇妙な大音量になるのかもしれない。何でも、故障したときに安全サイドの方に落っこちない(フェールセーフ)と、まずい。「オン・ザ・エッジ」といういかにも塀の上を走っているような名前の会社の社長も同じだ。


ところで、自分のスリッパが小犬のおもちゃになって、崩壊してしまったので、新たに購入したところ、「減音スリッパ」という商品だった。確かに音は従来品の半分くらいだ。使う前に解体して調べるわけにはいかないが、底が肉厚であることが、特徴の一つ。そして、裏底に無数の穴が開いている。どうも、この穴が減音効果の最大の秘密なのだろう。特許とか、なりにくいだろうということはかなり予想できる。

一方、思うに、減音スリッパというのは、特にマンションでフローリングにした時に有効なのだろう。ローコストマンションの特徴は、鉄骨の骨抜きだけでなく、床厚を薄くして、その上に直に床材を貼ってしまったりしているからだ。マンション用のフローリングは裏にゴムが貼ってあり、柔らかくなればなるほど響く音は消えるが、表面を引きずる音に対してはあまり有効ではない。

このマンションでの音の問題は、題名を忘れてしまったが「山田詠美の小説」の中に登場する。確か、階上に住む独身女性の部屋から漏れるスリッパの音や、水洗トイレの水を流す音が2倍になったり、便器の蓋を上げる時の音の違いから、愛人が訪問していることを推定する場面があった。となれば、減音スリッパだけでなく、減音トイレや減音ベッド、さらに花粉症の季節には減音マスクなどにもニーズありということだろうか・・商品開発には経験者の意見が必要だ。