写真展 岡本太郎の視線(~2/18)

2006-02-12 09:33:48 | 美術館・博物館・工芸品
53fc957a.jpg岡本太郎には目がない。恵比寿ガーデンプレイスの南端にある東京都写真美術館で「岡本太郎の視線」として写真展が開かれている。写真は彼の芸術活動の中でどういう位置だったのか、考えてみると、二種類の意味があると思える。「作品としての写真」の場合と「芸術感覚の収集行為としての写真」だろう。

若い時の太郎は1930年代をフランスで過ごしている。パリの街を写した作品群は、当時のプロの作品とは技巧的な差はあるが、影の多いコントラストの強い作品が多い。親交していたブラッサイからだいぶ教わったようだが、作風は似ていない。この光と影のコントラストの強い二元論の作風は戦後、縄文土器の芸術性についての評論を藝術新潮に掲載する際、縄文土器の撮影に生かされている。縄状に刻まれた装飾の陰影を白か黒かどちらかに写し分けている。「なまはげ」の写真群も、陰影がきつく、怖い。

次に、収集行為としての写真というのは、後年、太郎の作品はモチーフは同様でも、壁画や構造物といった「物体」になっていくのだが、製作の過程で、多くの取材を行っている。そういった、日常的にありふれた実相の中から創造の核となるイデアを見出していくのだが、その過程で多くの写真をとっている。日本国内を歩いたときのいくつかの場所でのスナップがそれだ。そういう小さなパーツを集めていくと、そのうちまとめて「芸術は爆発だ!」ということになる。

撮影に関しては、彼は目で見るように写すということになっていたらしく、構えたら1秒後にはもう撮影は終わり。それをゆっくり一枚ずつ時間をかけて見るのも、なんだか変だな、と気が付いてしまうのだ。


会場の中で、太郎の使用カメラの解説があったが、ごく普通のカメラが多い。証言から言うと、押入れ一杯にカメラがはいっていたが、ある時に若いカメラマンたちがやってきて、ほとんどもっていってしまったということだそうだ。早く返しなさい!

格言1:カメラは、カメラマンに渡すと、返ってこない。
格言2:おカネは、生保外交員に渡すと、返ってこない。
格言3:税金は、・・・
格言4:年金は、・・・