ネクタイを忘れた男の運命は?

2004-12-11 14:41:54 | 市民A
10ee84b1.jpg実は、月曜日に福岡(博多)に行っていた。もう一人の若手と一緒で、二箇所の会社に行くことにしていたのだ。9時と10時半のアポ。日曜の夜にホテルに入ることにしていて、博多駅前のホテルのロビーで月曜朝に集合ということにしていた。

日曜にスーツというのも気が利かないので、カバンにワイシャツなどの小物を詰め、軽装にスーツのジャケットを抱えて、ホテルにチェックイン。地元の知人と飲みに行き、「イモ焼酎を飲まなければ意気地なし」とか女将にあおられ、まあなんとか帰ってきて、眠る前に明朝の支度を鞄から取り出してみると、「あっ」ネクタイが無い。グレーのスーツにめずらしく白いワイシャツ。ネクタイがなければまったく恰好がつかないが、しかし、もう夜は更けていて・・”まあ、あした少し早く起きて、駅のKIOSKで買えば”とか思って眠ってしまう。夢の中に、女将の「意気地なし」ということばが出てきたかどうかはすでに記憶はない。

で、予定通り早めの朝食をとり、駅に向かう。首都圏のKIOSKではどこでもネクタイやハンカチを売っている。白や黒のネクタイだけでなく、何種類かは吊るしてある。スーツにお似合いの柄はないかもしれないが、妥協すればいい。

博多駅は巨大な駅なので、KIOSKもたくさんある。専門別に分かれているが、おみやげや弁当中心のところには、ネクタイはない。新聞中心のところにもない。雑貨をおいてあるところにも無い。はじからはじまで歩いても、なぜかハンカチはあってもネクタイは無い。まずいな・・・

次に地下鉄を狙う。JRの下だ。ここにも売店がいくつかあるが、なぜかここにもネクタイは売っていない。え、どうしたの?小売カルテルか?地元のネクタイ店の保護のため?聞いてないよ。

駅のまわりのコンビニは、何軒かのぞいて見るが、ここにも無い。しかし8時半頃でぼちぼちサラリーマンも歩いているがみんな普通にネクタイをしている。どこで買っているのかわからないが、9時前にネクタイを買う人なんか世の中にそんなにいないのかな?それにKIOSKでネクタイを買う人もいないのだろうね。商品回転率は悪いだろうね。でも困ったな。このままでは、単に遊びにきてネクタイを忘れてしまったということが、すぐにバレてしまうではないか。「おまやー!ばりむか!!ぼとくりこかさるばい!!!」と粉砕されてしまいそうだ。
(注:おまやー、ばりむか、ぼとくりこかさるばい。;標準語訳、おまえー、ムカツクな、ボコボコにしてやるぞ。)

JALホテルがある。ブランドネクタイは高そうだが、のぞいてみると幸か不幸か開店前。結局、1時間くらい足棒で元のホテルに戻る。棍棒をもって獲物のイノシシ狩りに行き、むなしく手ぶらで家族の前に帰ってきた石器時代人のオヤジのようだが、しょうがない。で、すかさず若手社員に、「おおたは急用ができて、今朝のフライトで飛んでくるので少しだけ遅れる」との言い訳を考え出し、先に訪問先に送り出す。9時開店の店をさがして、30分以内の時間差でごまかそうという苦肉の策だ。ビジネス上のウソはいけないが、遅刻のいいわけ程度なら許容範囲かな?と窮余の一策。若手社員のネクタイを取り上げてしまうという方法もあるが、今後のことを考えるとディメリットが多いだろう。

で、また散歩の続きになったのだが、最初のウソのために、今度こそ絶対にネクタイが必要になってしまった。しかし実際問題9時から開く店はほとんど無い。たいていが10時なのだろう。しかも、2軒目の訪問先の約束は10時半なのだから、追い詰められてきた。困ったものだ。強迫観念にとりつかれた夢のような話だが、夢ではないのだ。
(この前、見た夢を紹介する。イヤな夢だ。ゴルフでティーショットを打とうとして、構えると、ボールが無い。ボールを取りにカートに戻って構えなおすと、ティーペッグがない。またとりに戻るとこんどはクラブを忘れてしまった。次は・・・、次は・・・、次は・・・。何度も何度もカートとの間を往復している間に、同伴プレーヤーはどんどん前に行ってしまい、見えなくなり、自分の周りには後続プレーヤーが100人ほど取り囲んで・・・)

しばらくして地下街にファンシー小物の店があいていて、どうもおもちゃのようなネクタイがあった。525円。でもこれではこどものおもちゃ。で、よくみると、おもちゃの後ろの何本かの本物ネクタイ。1050円。しかし、センスは悪いな!いかにも中国製だし、グレーのスーツに共産党ご愛用のような赤地に黒の点々がついているてんとう虫のような。これでも、高校3年間で唯一の「5」は美術だったのだが、このセンスのなさを先生に許してもらわなければならないか。

で、ちょうど30分遅れで、若手社員の手持ちの話題が品切れになる1秒前に登場。「やあやあ、お元気ですか。」福岡空港から駆けつけたかのように息を荒げながらなんとか無事に、乗り切ったのであった。