OECD PISAをながめて(1)

2004-12-14 14:39:00 | 市民A
OECD生徒の学習到達制度調査(PISA)については、文部科学大臣が、「学力低下は、要するに勉強しないからだ」との断定発言が出てから、何人ものブロガーがこの件を書き連ねていて、百家争鳴である(と難しい単語を一つ使ってみる)。特に、極東ブログさんがこの件の関連とサマンサ・スミスの手紙をとりあげた稿のコメントで、あるべき子供論が賑わっていて、まあ、いろんな考えの人間がいるのだなって感じている。
それで、いまさら百一番目の一声など相手にされないかもしれないが、いろいろ調べてたら遅くなった。断定的な発言をする人物は好きではない(と自分を棚に上げて)こともある。

さて、このPISAの構造だが、実は前回第一回が2000年で、今回の2003年が2回目、そして次は2006年が3回目である。ほらほらという感じだ。まだ2回しかやっていない。低落傾向というようなことはいえないわけだ、単に、1回目と2回目ということ。次に参加国は、OECD30ヶ国を中心に、自由参加である。1回目は32ヶ国、2回目(今回)は41ヶ国、次回は55ヶ国である。そして、毎回チョンボ国が出て、1回目はオランダ、2回目が英国がデータ対象外となっている。
そして、あまり根拠がないのだが、実感としては世界一ではないかと感じているシンガポールは参加していない。秘密主義だ。

次に、テストのカテゴリーだが、これも変わっている。2000年の時は、
A.読解力
B.数学的リテラシー
  a.空間と形
  b.変化と関係
C.科学的リテラシー
という3分類で、数学については主要2分野であった。

それが、2003年には
A.読解力
B.数学的リテラシー
  a.空間と形
  b.変化と関係
  C.量
  d.不確実性
C.科学的リテラシー
D.問題解決能力
の4分類になり、さらに数学は重点4分野に増えた

そしてこの問題は、なぜかオーストラリアで作られている。他の国も口を出していることにはなっているが、なにせ41ヶ国が注文をつければメチャメチャになるだろうから、ほとんどはオーストラリア製と思っていい。

テストの詳細はOECDのPISAレポートを読むとある程度わかるが英文で470ページあまりにわたり、斜めに読んだ限りでは、参加各国に遠慮して遠まわしに、表現しているので、文部科学省の抄訳を見たほうが楽だと思う。原文は参加各国について記されているが、日本版は日本のことだけだ。英文が出てから、ちょうど1ヶ月で日本版になっている。役所の仕事でも、別に、大きな偏向は感じられない。単に数字を読むだけだから。

結果から見てみると、日本はかなりのトップであり、若干の問題はあっても、悲観することもないのかと楽観的になった。問題となっているA.読解力は、別にまとめるとして、B.数学については、d.不確実性が2位グループだが残りのabcの3分野は1位グループだ。一位グループの中の序列を気にする向きもあるが、こういうテストは中位グループを意識して作られていて、上下両サイドのはじの方は、あまり序列など気にしないものだ。
そして、数学の中の不確実性が少し落ちるというのは、「日本人は、将来を予測するのが下手だ」と言われているのを単に証明しただけだろう。
そして数学でやけに気になるのは、韓国は、日本とほとんど同じ特徴をもっているということ。一方、香港はこの不確実性部門もトップだ。やはりHSBC証券でアメージングアジアファンドでも買うべきかもしれない。

それから、C.科学的リテラシー、D.問題解決能力の分野は日本、韓国、フィンランド、香港の4ヶ国が圧倒的に他国を引き離して別ボックスにいる。こうみると、サムソン、ノキアは原因なのか結果なのか知りたくなるが、テスト結果からはわからない。

このテストの参加国は、15歳の生徒を決められた手法でランダムに選ぶことにしているが、香港のように小さく、都会人口の多い国は、教育レベルも高くなるのではないかなという考えが頭をよぎるが、これも確認できない。

それで、次は「読解力」の問題だが、長くなるので、続きは明日、書く。