三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

対熊野市訴訟上告理由書 2

2012年08月17日 | 紀州鉱山

上 告 理 由 書 

5 憲法15条「公務員の性質」違反
 被上告人は、英国人捕虜に関わっては、「英国人墓地」の文化財指定、「慰霊祭」における公金支出、鉱山資料館での英国人捕虜のパネル展示やビデオ上映を行うが、強制連行により亡くなった朝鮮人については、歴史的事実の調査をすることもなく追悼碑建立の取り組みを拒否している。このような被上告人の差別的な対応は、憲法15条に定める「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」という規定に違反している。

6 憲法32条「裁判を受ける権利」違反
 朝鮮人に対する強制連行の歴史的事実や、熊野市指定文化財「史跡英国人墓地」と、強制連行により亡くなった朝鮮人の追悼碑とに対する被上告人の不公正かつ差別的な対応にみられる憲法違反の事実を審理せず、実質課税の原則を無視した僅か2回の口頭弁論の一審及び僅か一回の口頭弁論の二審は、憲法32条に定める「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない」という規定に違反している。

7 憲法76条「裁判官の独立」違反
 被上告人がとっている紀州鉱山に強制連行されて亡くなった16人の英国人捕虜に対する対応と、同じく紀州鉱山に強制連行されて亡くなった朝鮮人に対する対応の違いは、明らかに行政による差別的な措置に起因しており、法の下の平等、基本的人権の尊重を掲げる憲法に違反している。
 さらに、この憲法違反を審理しない裁判官もまた、差別行為の禁止という人類の普遍的な真理に目を閉ざすものであり、良心の欠如を示すものである。
 良心と憲法に目を閉ざした一審及び二審の裁判官は、憲法76条に定める「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職務を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」という規定に違反している。

8 憲法97条「基本的人権の本質」違反
 被上告人がとっている、紀州鉱山に強制連行されて亡くなった16人の英国人捕虜に対する対応と、同じく紀州鉱山に強制連行されて亡くなった朝鮮人に対する対応の違いは、法97条で定める「基本的人権は、……侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」に違反する。

 9 憲法98条「憲法の最高法規性」違反
 一審及び二審は、租税法律主義を掲げて固定資産税課税は適法というが、そもそも租税法律主義は、前近代の封建的恣意的な侵害から市民の財産権を守るために近代社会になって構築された思想であり、公平負担の原則を骨子としている。ところが、地方税法そのものが、強制連行という国家的犯罪の事実を隠ぺいし、加害責任を不問にして制定した税法であるため、租税法律主義にいう公平さを有しておらず、憲法違反である。
 二審判決は、
    「本件土地が、地方税法が固定資産を課することができないと定 める固定資産のい
   ずれにも該当しない」(二審判決文9ページ2行目~同ページ4行目)
として、固定資産の課税処分は適法としたが、公正さの保持・基本的人権の尊重・平等の尊重を欠いた地方税法は、憲法11条、憲法12条、憲法13条、憲法14条、憲法15条、憲法97条、憲法99条のそれぞれに違反する。したがって、一審及び二審の判決は、憲法98条で定める「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律……、その効力を有しない」に該当するため、無効である。

 10 憲法99条「憲法尊重擁護義務」違反
 以上指摘したように、被上告人、及び被上告人の違憲実態を審理しようとしない一審及び二審の裁判官は、いずれも上述した1から9のとおりの憲法違反を犯しており、憲法99条に定める「裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」に違反している。

 第3 結論
 一審及び第二審判決は、以上のように憲法が要請する「国際協調主義」、「基本的人権の尊重」、「主権在民」のどの観点から捉えても、憲法違反であるから、民事訴訟法第312条第1項により上告するものである。

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