三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

今月22日の裁判(口頭弁論)を前にして 7(最終回)

2014年05月15日 | 紀州鉱山
■原告準備書面(2)
(九)歴史・社会・法

 本訴においては、土地所有における「特別の事情」と、紀州鉱山で亡くなった朝鮮人を追悼する碑の敷地の公共性・公益性および「その他の事由」が歴史的・法律的に十分検討されなければならない。
 そのためには、本訴を担当している裁判官は、実際に紀州鉱山で亡くなった朝鮮人を追悼する碑が建立されている場に行って土地の使用状況を「現場検証」すべきである。
 本訴においては、行政犯罪・企業犯罪である紀州鉱山への朝鮮人強制連行、紀州鉱山での朝鮮人強制労働の実態が解明されなければならない。
 そのことによって紀州鉱山で亡くなった朝鮮人を追悼する碑の敷地の公共性・公益性が明確になるとともに、朝鮮人を追悼する碑の敷地への課税行為が社会正義に反していることが鮮明になるであろう。
 また、実質的な原告である紀州鉱山の真実を明らかにする会が、紀州鉱山で亡くなった朝鮮人を追悼する碑を建立するにいたった歴史的・社会的意味が法廷で検討されなければならない。
 そうすれば、熊野市は「地方税法」6条・367条と「熊野市税条例」71条にもとづいて、固定資産税の課税を放棄しなければならないことが明白になるであろう。
 被告熊野市が訴訟代理人倉田厳圓弁護士と5人の被告指定代理人の名で、2013年6月3日付けで、津地方裁判所民事部合議1係に提出した「答弁書」は、空疎なコトバで埋められている文書であるが、熊野市が日本の行政機関として、紀州鉱山での行政犯罪の歴史的責任をとろうとしないで、紀州鉱山での犠牲者を追悼する場への課税しようとしていることの社会的悪質さを鮮明に示している。
 原告は、被告熊野市が、紀州鉱山で働かされた朝鮮人の歴史について「知らない」と言い、日本への朝鮮人強制連行にかんして虚言を述べている本訴においては、このことにかかわる「証人尋問」が不可欠であることをあらためて強く主張する。
 本準備書面(2)の「(二)「紀州鉱山への朝鮮人強制連行」にかかわる非科学的虚言」で述べたように、被告は、「国民徴用令」による「徴用」を「強制連行」と同義であるかのような偽言を述べている。しかも、このとき被告は、紀州鉱山への朝鮮人強制連行が問題になっているにもかかわらず、個別紀州鉱山への朝鮮人強制連行についてはまったく触れることができないで、「国民徴用令」による朝鮮人「徴用」について不確かな資料であいまいなことを語っているのである。
 したがって、ここで原告は、2013年6月20日付け「証拠申出書」で申請した日本近現代史研究者竹内康人さんの「証人尋問」を、ここで再度、裁判官に要請する。
 証人竹内康人さんが立証する事実は、つぎのとおりである。いずれも、被告の「答弁書」等での発言が虚言であることを示すものである。
  (1) 熊野市の、朝鮮人強制連行(戦時の朝鮮人労務動員)の認識が誤りである事実。
  (2)熊野市の、紀州鉱山への朝鮮人強制連行数の認識が誤りである事実。
  (3)熊野市が「徴用されてきたものが245人しかいない」とする誤りの事実(外務省調査資料の原資料の分析による)。
  (4)熊野市には、紀州鉱山への朝鮮人強制連行を史実として市民に示す歴史的責任があるという事実。
  (5)熊野市が、紀州鉱山で亡くなった朝鮮人の追悼碑に課税することは、強制連行の歴史を究明することなく、過去の植民地
    支配を正当化することであるという事実。
  (6)熊野市が、紀州鉱山朝鮮人追悼碑のある土地に固定資産税を課することが不当であるという事実。

 熊野市にたいし、紀州鉱山で亡くなった朝鮮人について死亡原因も死亡者の名前も究明しようとしていないことが行政機関としてどれほど深刻な行政犯罪であるかを自覚するように、あらためて原告は促す。
 「朝鮮人強制連行はなかった」、「紀州鉱山の朝鮮人の強制労働とその死者については知らない」、と言い張る被告熊野市の態度は、朝鮮人の紀州鉱山への強制連行の事実と紀州鉱山での死者について究明し、その究明を根拠にして追悼碑の土地にたいする固定資産税への課税の不当性を訴えた原告らの提訴に正面から向き合うことを放棄し、法廷で真実を争うという裁判制度の本質を否定する態度である。
 熊野市は、みずからが紀州鉱山における朝鮮人の強制労働とその死者について調査し、その実態を明らかにするならば、おのずから紀州鉱山で亡くなった朝鮮人の追悼碑の敷地に課税することが、法的にも社会的にもできなくなるだろう。
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