三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

展示会の名称を変更するとともに案内チラシの第2案を撤回してください

2020年11月04日 | 個人史・地域史・世界史
■展示会の名称を変更するとともに案内チラシの第2案を撤回してください■

  大阪で開かれようとしている日本の侵略の歴史を伝える展示会の実行委員会さま

      三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者(李基允・裵相度)の追悼碑を建立する会
      紀州鉱山の真実を明らかにする会
      海南島近現代史研究会
                           2019年3月9日

■展示会の名称(「アジアから見た日本の戦争」展、「アジアから問われる日本の戦争」展)批判  
 改悪ピースおおさかの展示に対抗する民衆の展示会開催にあたっては、すべての民衆運動においてと同じく、できるかぎり学習し、考えを深め、コトバを厳密に使わなければならないのではないでしょうか。
  ① アジアは地域名である。
   人は問うことができるが地域は問うことはできない。地域は何かを見ることはできない。
  ②アジアというコトバは、東アジア、東南アジア、南アジア、西アジア、中央アジア、北アジア
  を示すコトバであり、日本が侵略した太平洋地域はふくまれていない。 
  ③ 日本が侵略した地域は東アジア、東南アジア、南アジア、太平洋地域である。
  ④ アジアには日本もふくまれている。
  ⑤ 「アジアから問われる」という表現は、被侵略地の民衆にたいする日本の戦争の侵略犯罪の
重大さを軽減している。侵略を体験した被侵略地の民衆は、問うているだけなのか。

 「アジアから見た日本の戦争」展という名称も、「アジアから問われる日本の戦争」展という名称も、日本はアジアにふくまれていない、あるいはじぶんたちは他のアジア諸国・地域とはことなる、という考えが前提にあります。
 アジアに日本をふくめないという考えは、「脱亜」という侵略思想に根を持ち、日本を「盟主」とする「大東亜共栄圏」構想にいたりました。「大東亜共栄圏」をスローガンとして、日本政府と日本軍は、アジア太平洋地域を侵略しました。
 日本のアジア太平洋地域の植民地化・侵略戦争を反省し、日本の子どもたちにも歴史的事実を知らせようとする展示会に、「脱亜入欧」を連想させる名称を使っていいのでしょうか? 「アジアから見た……」、「アジアから問われる……」という名称には、日本は他のアジア諸国・地域とは違う、という意識がふくまれており、排外・差別思想が根底にあるのではないでしょうか?

■第2案表面批判
 第1案につづいて第2案が出されましたが、このような案が次々に出されてくる根本を変えていかなければならないのではないでしょうか。
 住民虐殺、略奪、村落・都市破壊、性犯罪、無差別空爆……をくりかえした「日本の戦争」のパネル展示の案内に「狛犬の写真」一枚を選んだ実行委員会事務局は、第1案にあの醜悪な絵一枚を選んだ思想・感性をそのまま維持しているのではありませんか。
 展示会のことを広く知らせようとする展示会案内チラシには、その展示会の内容をできるだけ詳細に書き入れなければならないと思います。
 しかし、この第2案では、実行委員会事務局は、[展示内容]の箇所に、「南京大虐殺」、「強制連行・強制動員」、「日本軍「慰安婦」問題」、「朝鮮の植民地支配」、「三・一独立運動」、「沖縄・基地」、「朝鮮学校」、「フクシマ」、「etc……」というコトバを並べているだけです。
 歴史的意味の背反する「朝鮮の植民地支配」(国民国家日本の国家犯罪)と「三・一独立運動」(朝鮮民衆の抗日反日独立闘争)が並べられており、「日本の戦争」とはいえない「フクシマ」が並べられています。
 「フクシマ」は重大な問題です。「フクシマ」の問題をパネル展示することは大きな意味のあることです。そうであるならば、それを「日本の戦争」の枠内で展示するのではなく、「「……日本の戦争」展」という展示会の名称も実行委員会の名称も、変更しなければならないのではないでしょうか。
 「朝鮮の植民地支配」は、日本の戦争犯罪ではなく、日本の他地域他国侵略犯罪です。
 「三・一独立運動」は、日本の植民地支配に抗する運動です。
 「朝鮮の植民地支配」や「三・一独立運動」をパネル展示する展示会の名称を「「……日本の戦争」展」とすることは、関心を持つ人を混乱させかねないのではないかと思います。
 「「……日本の戦争」展」の開催日は、今年の4月29日と30日とされています。4月30日は、最悪の戦犯ヒロヒトの死後、天皇となったヒロヒトの子が天皇をやめる日であり、実行委員会は、この日に合わせて開催日を決定したのだと思います。
 ヒロヒトの子は天皇になった直後(1989年1月9日)に、ヒロヒトが「在位60有余年,ひたすら世界の平和と国民の幸福を祈念」していたと虚偽をのべ、取り消すことがありませんでした。
 2019年4月30日に日本民衆が開催するパネル展示会の[展示内容]には、「天皇制」(あるいは、「天皇の戦争責任」、「天皇の侵略犯罪」……)を欠落させてはならないのではないでしょうか。

 実行委員会事務局は、狛犬に、「ここには昔、大阪砲兵工廠という東洋一の兵器工場があってな、……中国や朝鮮、アジアの国々を焼き尽くしたんじゃよ」と、歴史事実と違うことを語らせています。日本軍が朝鮮で爆弾を投下したことはありませんでした。
 「国を焼き尽くす」とは、具体的には、どういうことですか。「国」を「焼き尽くす」ことができるのですか? 
 「……工場」が、「中国や朝鮮、アジアの国々を焼き尽くした」という「説明」はなりたちません。

■第2案裏面批判
 第2案裏面の「「アジアから問われる日本の戦争」展」の全文はつぎのとおりです。【 】内の番号数字は、当方が記入。

【一】いま日韓関係が冷え込んでいると言われています。【二】「徴用工」問題、日本軍「慰安婦」問題に代表されるように、過去の戦争と植民地支配をめぐる「歴史認識」の隔たりがその根底にあります。
私たちは過去の歴史をどれだけ直視しているでしょうか?
【三】2013年、「ピースおおさか」はこれまで展示していたほとんどの加害展示を撤去し、被害についても真正面から受け止めるのではなく、差しさわりのないものに差し替えられました。
現在「ピースおおさか」を訪れる見学者(特に子どもたち)は、【四】侵略戦争における残虐な加害の歴史も、また【五】侵略戦争にかり出された日本の人たちが遭遇した不条理な被害の歴史も知らされないまま、【六】誤った「歴史認識」を植え付けられています。
【七】いまほどアジアから「歴史認識」を問われているときはないというのに、新聞やニュースを見ても、教科書を読んでも、アジアからの問いはほとんど載っていないのです。
【八】わたしたちはアジアから問われている本当の「歴史認識」を、市民の手で取り戻す作業を始めたいと思います。
【九】みなさま、ぜひとも「アジアから問われる日本の戦争」展に足をお運びください。

以下で、番号順に疑問を提出しつつ批判します。
【一】日本の侵略の歴史を伝えようとするパネル展示会の案内文の冒頭に「いま日韓関係が冷え込んでいると言われています」と書かれていますが、そのようなことをだれが言っているのですか?
 「日韓関係が冷え込んでいる」とは、どういう事実を言っているのですか?
 この場合、「日韓関係」とは、どのようなことですか?
 朝鮮民衆と日本民衆の関係は、国家間の関係ではありません。日本の国家犯罪の歴史を明らかにし、その歴史的責任を追究している日本民衆と朝鮮民衆の関係は、わずかずつではあるが、深化しつづけています。
 いま、「日韓関係が冷え込んでいる」と宣伝しているのは、日本のマスメディア、日本の排外主義者……です。
 「いま日韓関係が冷え込んでいると言われています」というコトバは、現日本政府と日本企業の侵略犯罪隠蔽に協力している日本のマスメディアなどの悪質な宣伝に加担しているコトバだと思います。
 いま、朝鮮民衆と日本民衆の関係は、強まっています。朝鮮女性を日本陸海軍、日本政府が組織的に“軍隊性奴隷”とした歴史的事実を隠蔽・否認しているのは、日本政府、右翼日本ナショナリストです。植民地朝鮮から住民を強制連行し強制労働させたのは、日本政府、日本企業です。
 その日本政府、日本企業、日本軍にたいして、事実を明らかにし、責任者処罰を要求し、謝罪と賠償を要求するのは、朝鮮民衆にとっても日本民衆にとっても当然のことだと思います。

【二】「「徴用工」問題、日本軍「慰安婦」問題に代表されるように、過去の戦争と植民地支配をめぐる「歴史認識」の隔たりがその根底にあります」と書かれていますが、意味がよくわからない文です。
  実行委員会事務局は、「「徴用工」問題、日本軍「慰安婦」問題」が何を「代表」していると言っているのですか?
 「その根底にあります」という「その」とは何ですか?  
 「「歴史認識」の隔たり」とは何ですか?
 国民国家日本の侵略犯罪にかかわる諸問題(「慰安婦問題」、「強制連行問題」、「住民虐殺問題」、「資源略奪問題」、「土地略奪問題」……)は、国家間ではなく日本国家の問題であり、社会正義の問題であり、歴史的責任を有する国家の国民がナショナリズムを克服することが問われている問題です。

【三】「被害についても真正面から受け止めるのではなく、差しさわりのないものに差し替えられました」と書かれていますが、この場合の「差しさわりのないもの」とは、具体的にはどういうものなのですか。

【四】「残虐な加害の歴史」というコトバにつけられている「残虐な」は、不要です。
 加害はすべて残虐です。

【五】「侵略戦争にかり出された日本の人たちが遭遇した不条理な被害の歴史も知らされないまま」と実行委員会事務局は書いていますが、「不条理」というコトバで実行委員会事務局は何を言おうとしているのですか?
 「侵略戦争にかり出された日本の人たち」とは、どのような「日本の人たち」ですか? アメリカ合州国軍機の爆撃で殺傷されたウルマネシアからアイヌモシリにいたる地域の幼児、子どもたちもふくまれているのですか?

【六】「現在「ピースおおさか」を訪れる見学者(特に子どもたち)」は、「誤った「歴史認識」を植え付けられています」と、何を根拠にして断定しているのですか? 「歴史認識」を「植え付ける」とはどういうことですか?
 だれが、どのように「植え付けて」いるというのですか?

【七】実行委員会事務局は、「新聞やニュースを見ても、教科書を読んでも、アジアからの問いはほとんど載っていないのです」と書いています。
 しかし、アジア太平洋民衆の日本の侵略犯罪にたいする怒りが反映している報道が、毎日のように日本のマスメディアによってもなされています。「ほとんど載っていない」のではありません。日本のマスメディアの報道を読みとって、アジア太平洋の民衆の声を聞きとるようにしなければならないのだと思います。
 いま、世界のマスメディアの報道を日本で受けとるのはかなり容易になっています。日本語での報道も少なくありません。
 「ほとんど載っていないのです」というのは、事実ではありません。

【八】「わたしたちはアジアから問われている本当の「歴史認識」を、市民の手で取り戻す作業を始めたいと思います」と書かれていますが、「アジアから問われている本当の「歴史認識」」というコトバで実行委員会事務局が何を言おうとしているのか、よくわかりません。
 「本当の「歴史認識」」とは何ですか? 
 「歴史認識」を「取り戻す」とはどういうことですか?
【九】「足をお運びください」は、障がい者差別表現ではないですか?
コメント
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