・雷に打たれて死んだ人は、決して悪人ではない。たまたまそうなっただけで、これは自然現象である。
・人間の精神作用は、死と共に活動を停止する。霊魂の不滅などということは絶対にない。
蟠桃は、このように「日常生活における迷信を否定し、物事を合理的に考えなければならない」と説いた。
このことは、次の意見にもよくあらわれている。
・西洋人が、世界の海を自由にかけめぐっているのは、天文学と地理学の豊かな知識に基づくものである。勇気は知識から生まれる。
蟠桃は「懐徳堂」から多くを学んだ。
懐徳堂の規則に、次のような項目があった。
「学問は、貴賎貧富を認めず、市民平等たるべし」
まさに、現代の思想である。
やがて、江戸幕府はその幕を閉じるが、その瞬間から日本はアメリカ・ヨーロッパの知識・文化を取り入れた。
蟠桃の学問は、新しい学問の受け皿の役目を果した。
文化7年(1810)、妻・のぶを亡くし、蟠桃にも老いの悲しみが押し寄せてきた。
文化10年、ついに失明した。
開かぬ目で、故郷・米田村神爪(かづめ)に錦を飾った。
その2年後、文政4年(1821)2月26日、静かに息をひきとった。74才だった。
*写真:蟠桃寄贈の灯籠(神爪)
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