右の地図で、「養老(ようろう)」を探して欲しい。江戸時代「養老村」はなかった。
明治10年に新しく誕生した村である。村名のつけ方が、珍しい。
「かこがわ万華鏡」(岡田 功著)から、引用してみたい。
「明治10年12月、印南郡芝村と同郡中村が合併に伴い新しく設定した地名である。命名にあたって芝村の有力者・滝氏にちなんでいる。・・・・」
それにしても、個人の名前にちなんだ村名とは珍しい例である。
最近は、あまり語られなくなったが、昔は滝といえば華厳の滝、那智の滝と並んで、養老の物語が、すぐに思い浮かんだものである。
「・・・貧しい百姓の孝行息子は、父に酒を飲ませたかったが、買う金がなかった。ある日、苔むした岩から(養老の)滝つぼに転落した。気がついたら滝の水が酒に変わっていた。老父は、この不思議な酒を飲み、すっかり若くなった。奈良の都の元正(げんしょう)天皇は、この話を聞き、年号を養老とした」という物語である。
中村・芝村の人は、こんな親孝行と滝家を重ねて村の名前にしたのかもしれない。
*地図は、「兵庫県市町村合併史」参照
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