石幢(せきとう)
仏様で、もっとも親しみを感じるのは地蔵菩薩ではないだろうか。この仏は、大地の恵を表している。
世の中が乱れはじめた末法(まっぽう)の時代に入ったとされた平安時代の末頃から広く庶民の間に広がった。
また、墓地で六体の地蔵をよく見かける。六地蔵である。
仏教では、人間は死後「生前のおこない」により、六つの世界に生まれかわるとされている。
その六つの世界とは、地獄・餓鬼(がき)・畜生・修羅(しゅら)・人間・天上であるという。
そして死後、「地蔵菩薩がそれぞれの世界に現れ、悔い改めた人には救いの手を差し伸べてくださる」というのである。
この六地蔵の考えは、鎌倉時代から広がった。六地蔵は、普通六体の石仏の姿で墓地にある。
写真のように六角形の石柱の、それぞれの面に刻まれた六地蔵が、池田の観音寺の境内にある。六地蔵が彫られた六角の石柱は、石幢(せきとう)と呼ばれ、珍しいものである。
今福、泉福寺の墓地にもある。
観音寺の石幢は、花崗岩製で製作年を示す銘文はないが、室町時代の初期のものといわれている。今福の泉福寺の石幢は江戸時代初期のものである。
* 写真は、池田(加古川市尾上町池田)観音寺の境内にある石幢。
この記事は再録です。