きょうは、集落の名前にもなったといわれるの井ノ口(上荘町井ノ口)伝承です。
◇井の口の清水◇
むかし、むかし都が奈良に定められた頃のお話です。
天皇は、役人の衣のつくり方についていろいろ試されていましたが、染色に困っておられました。
それは、藍色が思い通りに染まらないのです。そんな時でした。
「播磨の国、印南(いんなみ)に大変よい水が出る場所がある・・・」という、神様のお告げを聞かれました。
さっそく、天皇の命をうけた者が、その場所にやってきました。
すると、山の麓に清水がコンコンと湧き出していました。
その水を都へ持ち帰り、衣を染めると、なんと鮮やかに染めあがったのです。
天皇は、たいそうお喜びになり、次のような歌をお詠になりました。
あいにあう 井ノ口の清水 なかりせば
都の衣 いかに染めなん
この井ノ口の伝承は、昨日のブログでも書いているように、都に通じる「湯乃山街道」が上荘を通り、都からの物や情報がさかんに行きかったことから生まれた伝承だと思われます。
井ノ口にはあちらこちらに地下水が湧き出す場所があります。
近くには、湧き水(タンサン水)を利用した保養施設・国民宿舎(みとろ荘)があります。
*『郷土の話とうた(第3集)』(加古川市教育委員会)参照