樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

遅い春

2011年05月09日 | 樹木

51日、半年ぶりに栃の森に行ってきました。今年は春の到来が遅く、予想どおり森の中にはまだ雪がたくさん残っていました。

 

 

場所によっては約50cmの残雪

 

樹木の芽吹きや開花も半月ほど遅れているようで、そのおかげで例年は見られないものが観察できました。その一つがマンサクの花。(正確には変種のマルバマンサク)

 

 

 

細くて黄色い花弁はマンサクの特徴です。凧の足のようでもあるし、息を吹き込むとピーと鳴ってクルクル巻き戻る昔の玩具「吹き戻し」にも似ています。

図鑑で知って一度実物を見たいと思いつつ、この森では積雪の時期しか見られないので、「一生無理かな~」とあきらめていましたが、季節が遅れたために思いがけず出会えました。

しかも、その隣に同じ形の花が色違いのピンクで咲いています。発見した時は「何じゃこりゃ?」でしたが、帰宅後に調べたらアカバナマンサクと判明。マルバマンサクの変種らしいです。

 

 

 

遅い春のおかげでもう一つ発見できたのはオニグルミの冬芽。まだ芽吹かず、ビロードのような皮をかぶったまま。ゆるキャラのぬいぐるみみたいで可愛いでしょ?

 

 

 

少し専門的になりますが、カバノキの仲間にシデ類があり、その中のイヌシデとアカシデは識別が難しいとされています。この森にイヌシデが自生していることは確信していましたが、アカシデがあるかどうかは不確かでした。

しかし、「花の色が違うので花期なら明確に識別できる」という図鑑の言葉どおり、アカシデも自生していることが今回はっきりしました。これも、遅い春の恩恵です。

 

 

イヌシデは花が緑

 

アカシデは文字通り花が赤い

 

下の写真は、雪の重みで折れたミズキの枝をシカが食べた跡。手前の樹皮が残っている部分は雪に埋まっていたのでしょう。この冬の寒さはシカにとっても厳しかったようで、死体も1頭ありました。

 

 

 

シカの食み跡

 

遅ればせながら、ブナも芽吹いていました。萌黄色というのか若緑色というのか、この時期のブナはこのほか美しい。気持ちが吸い取られるようです。

 

 

 

展開したばかりのブナの若葉

 

「そう言えば、子どものころ一番好きだったクレパスの色は黄緑色だったな」と思い出しながら、遅い春の森を眺めていました。

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2 コメント

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Unknown (guitarbird)
2011-05-11 05:42:18
おはようございます
いつ見ても素晴らしい森であることが伝わってきます。
こちらは雪解けは早かったけど解けた後の春の進みが遅かったです。
しかし、標高の違いでしょうけど北国のA公園よりも雪が多く残っているのはちょっと驚きました。
樹木の芽吹きの様子は同じくらいの感じです。
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ここは (fagus06)
2011-05-11 08:35:09
標高は700~800mくらいです。
そうですか、A公園よりも雪が多いですか。それは私も驚きました。
京都府と滋賀県と福井県の県境あたりに位置する豪雪地帯ではありますが、北海道と同じくらいとは思いもしなかったです。
今年は特別かも知れませんが。
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