週末、栃の森へ今年最後の観察&野鳥調査に出かけました。
あいにくの雨で、前夜の車泊でもルーフをたたく雨音に何度も眠りを妨げられました。「雨が止めば一眼で動画を…」と目論んで三脚を背負いましたが、結局使わずじまい。主にコンパクトデジカメで樹木を撮ってきました。
ここは落葉広葉樹の森。葉が散った後は常緑の植物が目立つので、今回は常緑樹に注目しました。
冬枯れの林内
落葉広葉樹林とはいえ、スギは多いです。林道周辺に植林されているほか、森の中にも自生や研究用の植樹があります。
スギは日本特有種で植物学的には1属1種ですが、このあたりのスギには地域的な特性があって特に「裏スギ」と呼ばれています。「裏日本のスギ」という意味でしょう。
自生の裏スギ
シカの食害で林床のササは壊滅状態。それでも斜面のあちこちに緑色の植物が生えているので、登って確認するとシダとアセビ。シダはどうか知りませんが、アセビは有毒なのでシカの食害を免れたわけです。奈良でも、シカが食べないのでアセビの純林ができています。
斜面でわが物顔のアセビ
ユズリハも目立ちました。枝の下の方にある古い葉が落ち、順次新しい葉に譲ることが名前の由来。年度や世代の交代を意味するめでたい葉なので、お正月の鏡餅に飾られます。
子どもの頃、年末になると、裏山でユズリハとウラジロの葉を取ってくるよう祖母に頼まれたことを思い出します。
ユズリハは葉の軸が赤いのが特徴
ソヨゴも見つけました。宇治周辺の山にはたくさん自生していますが、この森にあるとは意外。縁が波打つ特徴的な葉と赤い実が雨に濡れていました。最近、庭木としても人気が高い樹種です。
赤い実が一粒ずつ成るソヨゴ
もうひとつはイワウメヅル。いつも休憩する場所にオニグルミの巨木があって、それに巻きついています。ちょうど小さな赤い実が熟して、地面にもいっぱい落ちていました。
オニグルミの巨木に巻き付くイワウメヅル
このほか、クロマツ、イヌツゲ、ヒサカキ、ヤドリギなどの常緑樹がありました。
最後に、おまけ。同行の友人が防水のハンディカメラを一脚にセットして、せせらぎの中を撮影した動画です。防水カメラは水中はもちろん、雨も気にせず撮影できるので怖いものなしですね。
この森の川ではヤマメやイワナも見られますが、これはアブラハヤです。
期待、期待、期待 !!!
でも、この水中映像は私の撮影ではないですよ。
今年は巨椋のシギチにしましたが、来年はこの森の鳥にしますか? 自信ないな~
そちらでもシカの食害がひどいのですね。
知床ではエゾシカが食べないハンゴンソウが増えているようです。
そういえば今朝A公園でエゾシカ雄1頭を見たのですが写真を撮れなかったのが残念・・・
こちらの在来の常緑「樹木」は、エゾマツ、アカエゾマツ、トドマツ、イチイ、ハイイヌガヤ、エゾユズリハ、フッキソウ、ナニワズといったところです。
エゾユズリハはしかしA公園周辺でまだ見つけておらずなんとか探したいと思っています。
うちの庭に斑入りのアオキを植えていますが枯れることなく雪ノ下から毎年出てきます。
「確か北海道にはエゾユズリハがあったはず」と思いながらユズリハを撮っておりました。
アオキは多分そちらでも育成できるでしょうね。
シカの食害は全国レベルのようです。
この森でも大規模な駆除が始まって、入口には危険告知の看板が出ていましたし、森の中にはライフルの薬莢が落ちていました。