樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

スズメが死ぬと人も死ぬ

2014年10月27日 | 野鳥
いつも鳥を見に行く近くの干拓田は稲刈りも終わって、スズメなどの野鳥が落穂を拾って食べています。実った稲も啄むので、スズメは害鳥と思われています。
1955年、中国はスズメをネズミ、ハエ、カとともに「四害」に指定し、大規模な撲滅運動を展開しました。年間11億羽ものスズメが駆除されたそうです。
ところが、1960年にはスズメを四害から除外します。理由は、スズメの激減によって虫による農作物の被害が甚大になったから。
スズメは稲だけでなく、子育て期にはタンパク質豊富な虫を食べます。そのスズメがいなくなれば、農地は虫の天国。稲だけでなく野菜など他の農作物に被害が拡大したため、スズメを四害から除外したわけです。



この「四害撲滅運動」は毛沢東が進めた「大躍進政策」の一環として行われたのですが、他の農業政策の失敗もあって、2000万人以上の国民が餓死したと言われています。
スズメを四害から除外してもすぐには数が回復しないので、ソ連からスズメを移入したという話も伝わっています。
毛沢東はこの失敗の責任をとって国家主席を辞任。第2代主席となった劉少奇は、大躍進政策を「三分の天災、七分の人災」と分析し、失敗を認めたそうです。
スズメが大量に死ぬと、人間が餓死するという恐ろしい結末に至るわけです。突き詰めて言えば、「生物の多様性」という概念の中に、植物や動物だけでなくホモ・サピエンスも含めて考えるべきだということですね。
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2 コメント

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Unknown (guitarbird)
2014-10-29 09:39:52
こんにちわ
もう10年くらい前に読んだ新聞記事の話で記憶はいささか曖昧ですが、熊本県でスズメの数を推定調査したところ、昭和30年代に比べて3割に減った、ということで、3割減ったのではなく、3割「に」減ったというのはショックでした。
調査といっても昭和30年代は当時を知っている人の感覚から推定した数であまりあてにならないかもですが、しかし「感覚的には」それくらい減ったということなのでしょうね。
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日本でも (fagus06)
2014-10-30 08:33:35
スズメが減っているんですね。
昭和30年代というと、私が小学生の頃ですが、当時は今よりもっとたくさんスズメがいたということですね。
農業の変化もあるのかも知れませんね。
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