樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

最も頻繁に出会う鳥

2014年03月31日 | 野鳥
昨年の「モニタリングサイト1000」の調査結果が公表されました。これは環境省の事業で、日本の代表的な生態系を1000カ所選んで野鳥を100年間観測しながら、その結果を生物多様性の保全に生かすのが目的。
5年ごとに実施され、今回は森林サイト71、草原サイト13が選ばれました。私も前回に続いて「栃の森」(仮称)の調査をお手伝いしました。
その結果によると、森林サイトで最も出現率が高い鳥はウグイスで95.2%。シジュウカラの93.5%を上回っています。草原サイトの過去5年間の出現率でも、ハシブトガラス(87.7%)を抑えて89.0%でトップ。
つまり、日本のほとんどの野山でウグイスは見聞できるということです。私も先日、ある場所でさえずり始めたウグイスを観察しました。



しかし、私たちが調査した「栃の森」ではウグイスは記録されていません。シカの食害でササが壊滅状態となったため、藪の中で繁殖する野鳥がいなくなったのです。
その特殊事情を差し引いても、ウグイスが最も見聞頻度が高いという結果は私の実感とは異なります。私だけでなく関西のバードウォッチャーの感覚では、ウグイスよりもヒヨドリやヤマガラ、シジュウカラの方が頻度が高いのではないでしょうか。
調査が行われたのが繁殖期なので、大きな声でさえずるウグイスが記録されやすいという事情があるのかも知れません。
さすがに、平均優先度(個体数の割合)ではヒヨドリが12.2%でトップ。以後、ウグイス6.1%、シジュウカラ5.7%と続きます。つまり、ウグイスはどこにでもいるけれど、数ではヒヨドリの方が多い(ウグイスの2倍)ということです。
それにしても、この調査、100年間も継続できるのかな~?
興味ある方のために、森林サイトの出現率ベスト10を記しておきます。
ウグイス(95.2%)、シジュウカラ(93.5%)、コゲラ(90.3%)、ハシブトガラス、ヤマガラ(ともに87.1%)、キビタキ、ヒヨドリ(ともに85.5%)、キジバト(75.8%)、オオルリ(74.2%)、イカル、エナガ、ツツドリ、メジロ(ともに64.5%)。
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3 コメント

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Unknown (guitarbird)
2014-04-01 07:19:50
おはようございます
この調査は季節的要因を除く、というか夏鳥ならそれがいる季節に調べたものだと解釈しました。
私の感触では、森林に限定し(草原はめったに行かないので)、数の多少は除き、記録があるかどうかでいえばやはりウグイスはほぼ必ずどこにもいるという印象です。
あと記録する機会が多いのは、センダイムシクイ、アカゲラ、コゲラ、ハシブトガラ、ヒガラ、キビタキ、オオルリ、キジバト、アオジ、ハシブトガラスといったところが10種類かな、あ、ウグイス入れると11種類になりましたが、次点がゴジュウカラかツツドリ。
数でいえばセンダイムシクイが多いと感じます。
シジュウカラは森林の奥ではいないところも多くて、逆にヒガラが多いです。
ウグイスはおなじみで多く感じられて印象に残りやすい、というのはなるほどあるかと思いました。
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Unknown (guitarbird)
2014-04-01 10:34:28
追伸ですが、書き終わってから、ゴジュウカラは上記の私の条件ではほぼ100%の場所にいたので次点ではなくもっと多いと思い直しました。
ハシブトガラは山ではいない場所があるのでそれより多いかな。
なお書いたのは見られる頻度が高い順ではないです念のため。
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ゴジュウカラの (fagus06)
2014-04-02 07:18:25
頻度が高いのは、こちらとは違いますね。本州と北海道では同じ種類ではないようですが、こちらでは標高700m以上の山に入らないと出現しないです。
逆に、そちらではヒヨドリの頻度が少ないようですね。こちらでは、邪魔になるくらい(笑)多いです。
こちらのシジュウカラが、そちらのハシブトガラに相当する感じでしょうか。
そちらではウグイスの頻度はこの調査結果とほぼ同じなんですね。藪が残っているということですね。
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