樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

海を渡る木

2015年10月08日 | 木と歴史
韓国にある百済の古墳から歴代の王の棺が出土し、その材質を調べたところコウヤマキであることが判明しました。コウヤマキは1属1種の日本特有種で朝鮮半島には自生しません。つまり、当時(4~7世紀)日本から運んだわけです。
その棺の一つが韓国の博物館に展示されていて、長さ2m×幅80cm×深さ80cmほど。原木はさらに大きかったはずです。
わざわざ海を越えて運ぶほどコウヤマキの価値が高かったわけですが、『日本書紀』にもヤマトタケルがコウヤマキを棺に使えと指示する話があり、日本の古墳からもコウヤマキ製の棺がたくさん出土しています。
それにしても、1500年も前から木材貿易が行われていたとは驚きです


コウヤマキの木材サンプル(竹中大工道具館)

ところが、驚くのはまだ早くて、古代エジプトでも木材貿易が行われていたようです。ピラミッドの遺品にはたくさんの木製品がありますが、コクタン、チークなどエジプトには自生しない木が使われているとのこと。インドあたりから輸入したのでしょう。
さらに、ソロモンとフェニキアの間で交わされた木材貿易の契約書が残っているそうです。ソロモン王はエルサレムに建てる宮殿や神殿の用材を確保するため、林業技術に優れたフェニキア人に材木の調達を依頼。代わりに穀物やオリーブ油をフェニキアに供給するという契約です。中東地域の建築材といえば、レバノン杉でしょう。
陸路は大変ですから船で曳いて運んだのでしょうが、木材貿易は紀元前の昔から普通に行われてきたわけです。

さて、当ブログはこれまで月曜日と木曜日の週2回投稿してきましたが、都合により来週から木曜日のみ投稿します。少し間隔があきますが、これまでどおりご愛読ください。
コメント (2)
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