樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

花の色の意味

2015年05月28日 | 樹木
週末、栃の森へ行ってきました。ちょうど開花ラッシュに行き当たったようで、いろいろな花が森を飾っていました。
ヤブデマリ、ハクウンボク、ホオノキ、トチノキ、アオダモ、ナナカマド、ミズキ、フジ、タニウツギ、そして咲き始めのヤマボウシ、ツルアジサイ、サワフタギ…。


ヤブデマリ

いま挙げた12種類のうち、フジ(紫)とタニウツギ(ピンク)以外はすべて白い花。以前からフィールドで木の花を見るたびに、また図鑑を眺めるたびに、「なぜ白い花が多いのだろう?」と素朴な疑問を抱いていました。
日本に自生する樹木の花は半分が白、というのが私の実感です。それを裏付ける資料を探してみました。
ある研究者が、「虫媒花型の野生植物のうち、最も多い花の色は白で36.3%。次いで紫24.2%、黄20.4%、緑9.6%、赤7.4%、青1.1%、褐色0.7%、黒0.3%」というデータを発表しています。樹木だけではなく、また虫媒花型の植物に限定した数字ですが、白い花が3割以上を占めています。


ナナカマド

「なぜ白い花が多いか?」については、別の研究者が仮説を立てています。その要点をまとめると…
①一般に白い花は小さく蜜が浅いところにあるため、口吻が発達していない甲虫にも吸いやすい。
②白い花の多くは多数の花が集まって茎の上方に平らな花序をつくるので、甲虫が止まりやすい。
一見もっともらしいですが、私には納得できません。「白い花=小さい」とか「白い花=多数の花が集まって平らな花序をつくる」という前提に疑問があるからです。
ホオノキやヤブデマリ、ツルアジサの花は小さいくないし、逆にフジやタニウツギは小さい花が集まっています。この論理は「白い花が一般的だから白い花が多い」と言っているに過ぎません。


ミズキ

ある研究者は、「昆虫の可視光線領域は紫外線側に偏っているため、白、黄、オレンジ、ピンクなどは見やすいので、虫媒花の多くはこの色である」と書いています。
この可視光線説の方が説得力がありますが、白い花が圧倒的に多いという説明には力不足。私にはまだ納得できません。
花の色の意味は学問的にはまだ解明されていないということでしょうか。
コメント (6)
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