先日、NHKのEテレで興味深い番組を放送していました。タイトルは「フォレストシンフォニー 森の生命の交響曲」。樹木が発する微弱な生体電位を音楽に変換するという坂本龍一の試みを紹介する番組です。
宮崎県の森ではコナラ、ツバキ、ヤブニッケイの3種類の樹木の電位を収集していました。幹に器具を取り付け、生体電位の変化を1秒100コマの速度で24時間記録。それを人間の可聴域の周波数に変換してから、ある音階に変換すると、不思議なことに音楽になるのです。
うちのコナラも生体電位を発しているのかな?
「木は光をエネルギーに換える天才。その周期性を音楽にしてみたい」というのがこの試みを始めた動機だそうです。
当ブログでも取り上げたことがありますが、坂本さんは以前から樹木に関心を持ち、NPO法人「More Trees」を設立して森林保全活動を展開しています。また、林業の町・岩手県住田町に地元産木材を使った被災者用住宅を建てるため、その資金集めに奔走しています。
庭のツバキも音楽を奏でるのかな?
番組では、ニューヨーク郊外の森でも樹木の電位を収集し、陸前高田市の「奇跡の一本松」からも記録をとっていました。最後の方で、その「奇跡の一本松」の電位を変換した音楽を流しながら、“教授”がエレクトリックピアノで伴奏をつけていました。
音楽を言葉で表現するのは難しいですが、前衛的なクラシックというか現代音楽というか、これまでに聞いたことがない種類の音楽でした。不快な音楽ではなく、むしろ「もっと聴いていたい」と思える音楽です。
YMOが登場した頃、私はテクノポップとは真逆の人間臭い音楽に入れ込んでいたので全く興味がなく、音楽家としての坂本龍一にも関心はなかったのですが、この番組を観て少し見方が変わりました。