樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

扁額

2010年01月18日 | 木と宗教
神社の鳥居やお寺の山門に大きな木製の看板が掲げてあります。これを扁額(へんがく)と呼ぶそうです。以前ご紹介した老舗の看板と同じく材はケヤキが中心。たまにヒノキも使われるようです。
下の写真は、京都市内にある豊国(とよくに)神社の鳥居の扁額。この神社は豊臣秀吉の遺命によって慶長4年(1599)に創建されました。この額が製作されたのは明治時代ですが、書は創建当時の後陽成天皇のもの。



唐門にはそのオリジナルが掲げてあります。こちらの扁額は創建当初のもの。この書を写し取って鳥居の扁額を彫り上げたわけです。
ちなみに、この唐門は伏見城の門を移築したもので国宝。伏見城→二条城→南禅寺→豊国神社と3回も移築されたそうです。


(豊国神社の唐門)

(唐門に掲げられたオリジナルの扁額)

下の写真は東福寺の山門。これも国宝だけあって、大きいだけでなく、どっしりと重厚感のある造り。ここにも扁額が掲げてあります。



こちらの書は、室町幕府4代将軍・足利義持が1400年頃に揮毫したもの。本来は「妙雲閣」と書くべきところ、禅の修業に女性は障害になるという理由から、女ヘンを「玄」と書き換えたそうです。



書としては子どもっぽく、今で言うウマヘタでしょうか。私も子どもみたいな字しか書けないので、読めない達筆よりも親近感が湧きます。
この扁額専門の職人が現在は京都に一人しかいないという話題を地元のNHKが放送していました。調べてみると、他の地方では木彫作家や欄間の職人さんが注文に応えて作っているようです。
コメント (2)
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