樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

木造都市

2010年01月07日 | 木造建築
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお付き合いください。
さて、年初なので夢のあるでっかい話をご紹介します。
オーストリアで高さ70メートル、20階建ての木造高層ビルが建築されようとしています。以前、日本で最も高い木造建築は東寺の五重塔で55メートル、世界で最も高い木造建築は中国の仏宮寺で67メートルとご紹介しましたが、この高層ビルはそれを凌ぐわけです。
しかし、この程度で驚いていてはいけません。日本では何と、高さ339メートル、72階建ての木造超高層ビルが設計されています。東京タワーよりも高い木造ビルです。設計したのは、京都で活躍する建築家・横内敏人氏、ビルの名前は「日満里楼(ひまりろう)」。


(339メートル、72階建ての木造超高層ビル「日満里楼」)

上の写真は図書館で借りた建築雑誌のパースを撮影したものですが、模型も作成されていて、横内氏の事務所に展示されているようです。
中は円筒状になっていて、15階ごとに節が設けられ、竹の子のよう。最上階から下へ、哲学、芸術、文化、政治、商業とゾーニングされ、地下4階は劇場にするという計画です。
荒唐無稽な絵空事ではなく、集成材を使って実際に建築することが可能で、荷重や風圧にも耐えるように構造計算されているそうです。ただし、法律的には許可されません。横内さんは次のように書いています。
「今日のような近代文明の後に訪れる新たな文明における都市の象徴として計画したものである。その文明においては、人は環境と共生する哲学を持ち、循環する生態系の中に組み込まれた産業システムと、自然を保全・育成する科学技術とを持ち合わせている。森は信仰の対象であり、その森の恵みである木材により建物が造られ、都市が築かれる。この超高層建築は、そのような森林国家の木造都市における商業的・政治的・文化的・中心である」。


(日本で最も高い木造建築、東寺の五重塔)

建築家=けったいな(関西弁で「妙な」)建物を建てたがる人という偏見が私にはあって、特に著名な建築家の言動は信用していません。しかし、この横内さんは一般住宅の設計でも自然への敬意を感じさせる仕事をされているようで、上のコメントにはシンパシーを感じます。
木造建築とか木造高層ビルのさらに上をいく「木造都市」というコンセプトも、私には新鮮でとても魅力的です。
コメント (4)
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