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樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

『パパの木』

2013年07月11日 | 街路樹・庭木
樹木が主人公の映画を観てきました。『パパの木』というオーストラリアの作品。
車を運転していたお父さんが帰宅直前に急死し、家の前の巨木に衝突。遺されたお母さんと4人の子どものうち、8歳の女の子がその木にお父さんがいると思い、登って話しかけるようになります。
しかし、枝が落ちて部屋を壊したり、根が排水管や隣家の塀を壊したりするので、伐採することになります。
ところが、「木=パパ」と思っている女の子が樹上に籠城して抵抗するので、しかたなく伐採は中止。そんなある日、巨大な嵐が襲来します。窓もドアも強風で壊れたので、家族は地下に避難。いよいよクライマックスです。



「最後はパパの木が家族を守ってくれました、みたいなハッピーエンドで終わるのかな」と思って観ていましたが、さすがカンヌ出品作だけあって、そういう生ぬるいラストではありません。
結局、パパの木も嵐で倒れます。何もかも失った家族は、残ったわずかな家財道具を車に積んで、新しい暮らしに向って出発するというエンディング。
原題は『THE TREE』。ツリーウォッチャーとしては樹種が気になるので、字幕に出た「オーストラリアゴムノキ」をたよりに調べてみると、クワ科イチジク属の常緑樹とのこと。実もイチジクに似ていて、アボリジニの食料だったそうです。
私自身の父と木の思い出といえばカキノキ。幼い頃、何かの理由で父の怒りを買い、裏庭のカキノキに縛り付けられました。しばらく泣き叫んだ後、母が解いてくれた記憶があります。
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樹はどっちに倒れるか?

2012年08月30日 | 街路樹・庭木
宇治は水害に苦しんだばかりですが、もうすぐ台風シーズンがやってきます。長期予報によると、今年は巨大な台風が到来するとのこと。
妻は「台風で倒れるかも知れないから庭木を剪定して」と言いますが、私は木を伐ることに抵抗があります。
たまたま今読んでいる本に、「強風で街路樹はどっちに倒れるか?」という記事があったので、じっくり勉強しました。
それによると、街路樹は建物側からは光が得られず、隣に並ぶ樹との間隔も限られているので、光合成を有利にするために上空か車道側に枝葉を伸ばす。必然的に重心は車道側に偏る。
バランスを保つために、広葉樹は重心とは逆の方向、つまり建物側に根を伸ばそうとするが、歩道の地中にはガスや水道などライフラインが埋設してあるため十分に根を伸ばせない。
こういう状況で強風が吹くと、ビル風現象も加わって、街路樹は車道側に倒れるそうです。


この街路樹(ユリノキ)も車道側に倒れるはず

ということは、たとえば「マンションの前の街路樹が台風で倒れてきて、窓ガラスが割れないだろうか?」という心配は、基本的には無用ということです。
わが家の庭木も倒れるとしたら道路側なので安心…。という訳には、個人の庭木の場合はいかないですね。道路に倒れたら、ご近所に迷惑ですし、万一人や車に当ったえらいことです。


わが家の庭木(アラカシ)が倒れたら…

やっぱり、台風が来る前に剪定するしかないですね。水害の後始末で土砂運びしたばかりなのに、風害予防のために樹木の剪定と枝の処理? しんどいけど、第2弾のダイエットと思ってやるか。

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都心の幸せな木

2011年11月03日 | 街路樹・庭木

最近、仕事で大阪の心斎橋周辺を歩く機会が増えました。高級ブランドの店やレストランなどが建ち並ぶ賑やかな界隈です。その周辺で幸せな木をいくつか見つけたのでご紹介します。

ひとつは、老舗のうどん屋さんの軒先に立つクスノキ。樹高が高くなったので、軒にコの字型のくぼみをつけて成長させています。

 

 

 

もうひとつは、老舗のすき焼き屋さんの店先に立つシダレヤナギ。こちらは軒に丸い穴があけてあり、その穴を幹が突き抜けています。うどん屋さんの屋根は瓦葺き、こちらの屋根は銅葺きです。

老舗の温かい思いが伝わってきて、「樹木を大切にするお店はきっとお客さんも大切にするんだろうな~」と感じました。

 

 

 

老舗ではありませんが、テナントビルの前にも似たような木がありました。エントランススペースの屋根を突き抜けて、2本のクスノキが延びています。

 

 

 

いずれも、伐ってしまえば済むところを、コストや手間をかけて樹木を大切に育てています。新しい店がオープンしたり、閉店したり、効率優先で街の表情が次々と変わる一方、こうして何十年も大切に守られている木もあります。

都心ではすぐに伐採される木が多いでしょうが、これらの木は幸せ者です。

 

いつもは朝にアップするのですが、今日は都合で夜になってしまいました。定期的にご覧いただいている読者のみなさん、申し訳ありませんでした。

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散歩コースの名木「緑樹編」

2011年10月27日 | 街路樹・庭木

今年の春に「散歩コース名木10選・花木編」として5本の樹を採り上げました。その続編として緑樹を5本選びましたが、うち2本が伐採されてしまいました。代役が見つからないので、ベスト3としてご紹介します。

まず、あるお宅の庭にあるアカマツ。庭木として植えるのはクロマツが多い中、このアカマツは目立ちます。しかも樹高が高く、きちんと手入れされているので、散歩のたびに見上げています。

 

 

 

お寺や神社の庭園では、外側にクロマツを植え、内側にアカマツを植えるとか。それは、海岸部にはクロマツが、内陸の山にはアカマツが多い日本の自然を表現しているからだ、という話を聞きました。

次は、禅寺の境内に立つナナミノキ。聞きなれない名前ですが、クロガネモチの兄弟分です。

 

 

 

葉っぱもクロガネモチにそっくり

 

八方に枝が茂った堂々とした巨木です。このお寺には宇治名木百選のうち4本がありますが、なぜこのナナミノキが選ばれなかったのか、私には不思議です。樹種として無名だからかな?

次は、ハワイアングッズのお店の前にそびえるパームツリー。外来種はよく分かりませんが、パームツリーの1種でしょう。この近辺では最も樹高の高い樹です。

南国ムードを表現するためか、このお店にはデイゴも植えてあります。

 

 

 

パームツリーを見ると、私は2つのレコードジャケットを思い出します。1つはイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」。ロック音楽史上ベスト3に入るこの名曲のジャケットにパームツリーが写っていました。多分、自分のコレクションの中で最も頻繁に聴いたレコードです。

もう1つはクラプトンの「461オーシャン・ブールバード」。録音スタジオの住所をそのままタイトルにしたレコードで、場所はマイアミ。やはりパームツリーが写っていました。

ハワイもカリフォルニアもマイアミも、私の頭の中ではパームツリーつながりで一緒くたになっているということですね(笑)。

 

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ダイエットした木

2011年09月22日 | 街路樹・庭木

京都市の川端通りの中央分離帯に異様に細長い木が植えてあります。車から初めて見たときは樹種が不明でしたが、しばらくして「例のアレではないか?」と気づきました。後日、確認のために撮影に行くと、やっぱりアレでした。

 

 

川端通りの丸太町以北の並木

 

元の樹形をご存知の方は驚かれるでしょうが、これはケヤキです。ケヤキは街路樹によく使われますが、上に伸びるほど枝が横に広がって、信号機を隠してしまいます。特にケヤキの並木道で有名な仙台市では交通の障害になっていたようです。

そこで、品種改良で横に広がらないケヤキをつくったのです。「武蔵野1号」とか「2号」という名前で各地に植えられていますが、ダイエットし過ぎた女性のようで、私には不健康に見えます。

下の写真はダイエット前の本来のケヤキの並木。トンネル状になってこちらの方がいい雰囲気ですが、信号機が見えなくなって安全上の問題があるのも事実。

 

 

京都の洛西ニュータウンのケヤキ並木

 

でも、それならわざわざ品種改良なんかしなくても、信号機を隠さない樹形の木を植えればいいのに・・・と私は思います。たとえば、三角形の樹形になるメタセコイヤとか枝を横に張らないポプラとかいろいろあるはずです。

食糧生産のためならしょうがないですが、信号機が見える・見えないといった程度の人間の都合で自然の摂理をいじくりまわすことには若干抵抗を感じます。

 

 

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カツラの香り

2011年09月08日 | 街路樹・庭木

台風12号は広い範囲に甚大な被害をもたらしました。宇治は雨は大したことなかったですが、強い風が2日半吹き続けました。

こういう台風に備えて、ちょうど1週間前、わが家のシンボルツリーであるカツラを伐採しました。大好きなカツラを伐ることには抵抗があったのですが、屋根よりも高く伸びて、7月の台風ではかなり揺れていました。

倒れることはないでしょうが、すぐ前には電線が、横には光回線の引込み線が張られていて、もし線が切れたら近所に迷惑がかかるし、インターネットが使えなくなるので、泣く泣く伐ったのです。

 

 

伐採前

 

 

伐採後

 

10年ほど前に植えた時は小さな若木でしたが、伐った幹や枝がガレージいっぱいになるほどの量。「ホントに光と水と二酸化炭素だけでこんなに成長するのかな?」と改めて樹木の不思議を感じました。

 

 

カツラの残骸

 

これを細かく切って束ねて23日放っておくと、家の周りに甘い、綿飴のような匂いが立ち込めました。20mほど離れてもそれと分かるほどで、家の中まで漂ってきます。

カツラの葉が紅葉したり落葉すると甘い匂いがすることは知っていましたが、青葉でも乾燥すれば匂いを発するようです。

 

 

メジロの巣もありました

 

この甘い匂いの正体は、マルトールという物質だそうです。麦芽糖に熱を加えて焦がすと生成されるとか。だから綿飴の匂いと同じなんですね。

ケーキやお菓子、歯磨き剤の香料としても使われる天然化合物で、ネットで調べると、この甘い匂いを配合した「カツラ」という香水も販売されています。伐ったカツラからマルトールを取り出せば香料として売れたのに、もったいないことをしました。

カツラは小さくなりましたが、今年の秋には再び残った葉が甘い匂いを漂わせてくれるはずです。

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散歩コース名木10選「花木編」

2011年04月11日 | 街路樹・庭木

私が散歩するコースには「宇治名木100選」のうち12本が立っています。イチョウ、クスノキ、エノキ、クヌギ、ケヤキなど樹種も多彩で11種。 

これとは別に勝手に散歩コースの名木を10本選んでみようと思って、昨年からリストアップして写真を撮っていました。その結果をご紹介します。まず、花木編として5種。 

最初はサザンカ。古いアパートの空き地に大きな樹があって、白い花をいっぱい咲かせています。奥まった場所にあるので普段はあまり人目につきませんが、開花時期はやはり目立ちます。撮影は昨年の12月中旬。

  

 

 

 

次は家のすぐ近くにあるサンシュユ。いつも早春に黄色い花を咲かせますが、今年は開花が遅くてサクラの開花と少しダブりました。別名「春小金花」。中国原産で、日本には朝鮮経由で移入されたようです。 

 

 

次は禅寺の入り口にあるシモクレン。木が大きくて、紫の花をたくさんつけるのでゴージャスに見えます。このお寺の境内には4本の「宇治名木100選」があります。

  

 

 

次は古墳だったという山の斜面に生えるヤブツバキ。これは妻の推薦。栽培品種のツバキは花がたくさん咲いてうるさい一方、野生のツバキは葉の中に赤い花が点々と咲くのがいいそうです。

 

 

最後は、近くの翔英高校の敷地にあるシダレザクラ。毎年、ソメイヨシノよりも一足先に咲きます。シダレザクラはエドヒガン系なので、花が少し赤っぽくて小さいです。

  

 

  

この学校はほとんど無名の小さな私立高校ですが、昨年夏の高校野球の京都府大会で決勝に進出して宇治では話題になりました。ご当地自慢のついでに、今年の全国高校サッカー大会の決勝で惜しくも敗れた久御山高校は隣町の高校です(笑)。

残りの5本「緑樹編」は近いうちにご紹介します。

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フェンスとの闘い

2011年03月03日 | 街路樹・庭木

以前、「樹の珍百景」として歩道の鉄柵を飲み込んだプラタナスをご紹介しましたが、その後もあちこちで似たようなシーンに出くわしました。今回は珍百景ではなく、フェンスと闘う樹としてご紹介します。

 

以前ご紹介したプラタナス

 

まず、近くの水路に設けられたフェンスに残る枝。横に生えているサクラの枝が網目を抜けて伸び、そのまま太くなって抜き差しならなくなったのでしょう。枝を剪定したものの、取り除けないので、そのまま放置されたようです。

 

 

次は、散歩コースにあるアラカシ。フェンスの網目を完全に飲み込んでいます。上のサクラは樹の負けですが、こっちは完全に制圧しています(笑)。こうなったら、フェンスを切るしかないでしょう。

 

 

 

次は、京都御苑の石垣と闘うムクノキ。この状態を見ると、石垣が築かれる前からこの樹が生えていて、それを避けて石を組んだようです。

現在の京都御苑は平安京の御所ではなく、明治10年以降に整備されたものなので、工事が行われたのは約130年前。そのときすでに大木だったので伐採せずに残したのでしょう。

 

 

最後は、宇治川沿いにあるクロガネモチ。私もよく通る堤防の道で、以前から気になっていた巨木です。調べてみると、この場所は行政区分としては京都市伏見区になるので「京都市の巨樹名木」にも数えられています。

 

車に削られて枝が四角になっています

 

木の根元を見ると、幹が半分ほど堤防に埋まっています。これも京都御苑のムクノキと同様、堤防工事の際すでに巨木だったので伐採せずに残したのでしょう。

宇治川の堤防を築いたのは豊臣秀吉ですが、多分その時代ではなく後世の改修時にこうなったのだと思います。いずれにしても樹齢は数百年、たいしたものです。

 

 

フェンスや石垣といった人工物と苦闘しながら、樹木は健気に生きています。

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樹より野菜

2010年09月23日 | 街路樹・庭木
今年、庭の樹を3本伐りました。理由は、畑の拡大。これまで1坪ほどの畑で気まぐれに野菜を作ってきましたが、冬になると隣家の陰になるので日が当たる畑にするためと、もう一つ、オーバーに言えば食糧自給率を高めるためです。


右側の畑に左側の畑を追加

伐採したのはウメ、ナツツバキ、コナラ。「樹が好きだ」と公言し、こんなブログを書いておりながら、わずかばかりの野菜のために庭木を容赦なく伐ってしまったわけです。
ウメは妻が梅酒や梅ジュースを作るために植えましたが作っても飲まないので…、ナツツバキは半分枯れていたので…、コナラは枝が伸びて隣の庭に葉を落とすので…、思い切って伐採することにしました。
コナラの根は掘り起こせないのでそのまま放置してありますが、切り株から次々と彦生えが出てきます。これまでに2~3回伐りましたが、また出てきます。エイリアンのような驚くべき生命力です。


コナラの彦生え

広くなった庭で今年はジャガイモづくりに挑戦しました。収穫は思ったより少なかったですが、初めてならこんなものでしょう。例年どおりミニトマトやピーマンも作りました。今はネギを植えています。


ジャガイモ1回目の収穫


新しい畑で作ったミニトマト

家庭菜園と言っても手入れがいいかげんで、収穫できる野菜も買った方が安いくらい。犠牲になった3本の樹に申し訳ないので、今年は頑張って冬野菜も作ります。
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日本列島植木植物園

2010年09月16日 | 街路樹・庭木
私は近くにある公立や大学付属の植物園によく出かけますが、その手の植物園とは別に、日本全国に網羅された植物園があります。
社団法人日本植木協会が7年前に立ち上げた「日本列島植木植物園」。会員の生産圃場、つまり植木屋さんのバックヤードを一般に公開して、無料で見学してもらったり、地域の子どもたちの学習に役立てようという植物園です。日本古来の園芸植物の種の保存という目的もあるようです。
現在、北海道から鹿児島まで約70ヵ所が公開されています。そのひとつ、京都市にある芳樹園さんに行ってきました。





社員さんが水を撒いたり、土を掘り返したりされていましたが、趣旨を伝えると「どうぞ、どうぞ」と歓迎してくれました。いつものフィールドや普通の植物園で見るのとはちょっと違った種類の樹木が植えられたていたり、同じ樹でもユニークな樹形のものがあったり、なかなか面白いです。


ワシントンヤシモドキ。初めて見る種類

ケヤキは普通は真っ直ぐに伸びた太い幹と、斜め上に伸びる枝が特徴ですが、下の写真のように、異様な形のケヤキもありました。


ケヤキとは思えない樹形

最終的には庭木として販売するのが目的でしょうから、普通の植物園とはセレクトする種類も育て方も違います。普通の植物園では見られない樹木もありますし、上のケヤキのように珍しい樹も見られます。特に造園に関心のある方には最適の植物園でしょう。
日本列島植木植物園のwebサイトはこちら
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