ライターの脳みそ

最近のマイブームはダム巡りと橋のユニークな親柱探し。ダムは目的地に過ぎず、ドライヴしたいだけ…。

おみやげ運搬車

2009-09-15 04:38:38 | 回想する脳みそ
誰だって渋滞にハマるのは好みません。むろんワシだってそうです。でも世の中にはその渋滞の実態調査をするために敢えてハマる仕事もあります。今回はそんなお話をしましょう。

少し前に旧日本道路公団関係の運転手をしていたという記事を書きましたね。その時に経験したお話です。

高速道路には利用者のために施設があります。サービス・エリア(SA)やパーキング・エリア(PA)がそうです。当時これらの施設は道路施設協会という組織が管理していました。

で、ここのエライさんは定期的に各SA・PAを視察します。ワシがたまたまヘルプで呼ばれたのは東名高速道路でした。当時関東圏において東名の管理範囲は東京インターから三ヶ日インターまでの片道250km。この間にある各SA・PAをひとつひとつ寄っていきます。

もっとも、これが通常の日ならいいんです。往復500kmそこそこの距離なんて大したことないですからね。でもワシが行ったのは年末の帰省ラッシュの時期。ええ、どう考えても渋滞に突入するのは必至でした。ヘルパーはこういう役回りなので仕方ないんですが、やっぱり心は重いですよ。

当日は早朝6時に部長の家に迎えに行き、いざ出発。案の定、道路は渋滞。その苦痛に耐えながら各SA・PAに寄ります。視察するといっても、担当部長は各レストランや土産物店に挨拶する程度です。別にクレームをつけるわけじゃありません。

面白いといってはなんですが、各施設の責任者の対応がみな同じなのには笑ってしまいましたね。彼らからすれば、

「東京からエライさんが来た! 決して粗相のないようにせねば!」

という感じなのでしょう。これらの施設は地元の業者が請け負っていますから、本部から視察が来たとなれば一大事というわけです。なので、部長に対してはとびっきりの笑顔で迎えます。部長のほうも慣れたもので、「ほうほう、そうですか、そうですか」のセリフのみ。

各責任者の共通の対応はほかにもあります。視察を終えてクルマに乗り込む前に彼らは必ず「おみやげ」を持たせてくれるのです。もちろん部長にですよ。

これがひとつふたつならいいんですが、港北PAから始まって浜名湖SAまで片道だけで14もあるわけです。先にも書きましたが、我々は往復するんですから結局28の施設に寄るんですよ。寄るたびに「おみやげ」をもらうわけです。

ご想像の通り、行程が終わりに近づくにつれてクルマのトランクは「おみやげ」で満載になります。あの時は確かトランクに収納しきれず助手席にも積み上げた記憶が…。え? 後部座席には置かないのかって? 置けないですよ。だって部長が横になってるんですから。

こうしてひとまわりしてくると、乗用車はさながら貨物車みたいになります。なんかね、まるで悪代官が商人から上納金をまんまとせしめてきたような感じです。

それにしても、こんなに「おみやげ」をもらっても困るのにね。まあ、すべては協会連中の胃袋に収納されたのでしょうけど。

ちなみに、この時東京へ到着したのは深夜の24時でした。そしてどこかの施設のまんじゅうをもらった記憶があります。今もこんなこと、してるんでしょうかねえ。
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