「岩国今昔展」がJR岩徳線の西岩国駅展示室で開かれている。会場には昭和61(1986)年11月から同62年5月まで地元紙の防長新報に掲載された「岩国今昔」の記事を中心に、100点余りの懐かしい光景が展示されている。記事は歴史に残る市内の各所の建物や光景が絵と写真、それの解説文でまとめてある。記事の存在は知っていたが、まとまって目にしたのは初めて。
「西岩国駅と機関車」のタイトルの解説。昭和4(1929)年4月に岩国駅として誕生したが、同年、西岩国駅と改称された。当駅は市内錦見六丁目にあり、岩徳線の主要な駅のひとつである。かって重要な交通機関であった地元の電車は、岩徳線の開通とともに開業から20年目に廃止された。この絵は昭和初期のもので中学校の生徒の姿も見られる。当時の電車を廃止に追いやった岩徳線も、今ではマイカーに押され民営化にしごかれている。ここでも歴史は繰り返されている。
岩国検定実行委員会の会員として学んだり調べたことを思い出しながら展示品を眺めた。木造の臥龍橋とそのそばに建つ岩国警察署、同じく木造の岩国病院、公園に変わった旧制岩国中学校、爆撃直後の岩国駅、母校の小学校の木造の玄関、あげれば際限なく続きそうな岩国の姿を知る。錦帯橋畔の深川や半月庵などが変わらん姿にほっとする。今昔の感、隔世の感、そんな言葉を思い出しながら見入った。
「今昔の感」と「隔世の感」、前者は「今と昔を思い比べて、その相違の甚だしいことから起こる感慨」、後者は「変化・進歩が急で、時代が甚だしく移り変わったという感じ」とニュアンスが異なる。感慨は物事に感じて心を動かす、身にしみて感ずること。感じは物事や人に触れて起る思い、感想、印象。時間があればもう一度見に行ってみよう。