鳥籠は小鳥を飼うための籠をさすが「鳥かご」のほうが親しみやすい。今は禁止されているが、子どものころに町内の寺の庭で催されていたメジロの鳴き比べを思い出す。何十個と並んだ鳥かごから聞こえるその声は「いい鳴き声」だったように思い出す。
メジロの入ったかごを何個も天井から吊り下げた下で鳥かごを作る人がおられた。小学校の帰りよく仕事場に入って眺めた。なたや小刀だけで細い丸棒が完成していくのが不思議でならなかった、ことを思い出しながら、孫が連れ帰ったインコの入ったかごを見る。インコよりはるかに高い値段、と嫁が教えてくれた。
鳥とかご、なんとなく男と女の浮世を歌った「籠の鳥でも知恵ある鳥は・・・」が浮かんでくる。意味も分からずおそらくラジオからの聞き覚えだろうが、最近ではこうした曲を聴くことはなくなった。
帰省してきたインコ、かごの戸は開きっぱなしで勝手に出入りをしている。手を出すと移って来る。たまには部屋の中を飛ぶ。餌や水は適当に口にしている。鳥は飛んで逃げるもの、そんな知識は打ち破られた。会話にあわせるように鳴きもする。ちょっと飼ってみようかな、短い時間だったがそんな楽しみをくれたインコだった。