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☆村上春樹「ファミリー・アフェア」

2008年04月17日 23時55分28秒 | 文学
村上春樹の「ファミリー・アフェア」(『パン屋再襲撃』所収)を読む。
最初あたりの会話文がおもしろかった。
母親の登場する村上春樹の作品ってほかにあるのかな。あまり見たことがないように思う。しかし話し方は妹も母親も、そしてその他の女の子たちもほとんど同じ。
「ねじまき鳥クロニクル」で妻の兄と仲が悪いという話がなかったかと思うのだが、それと同じようなモチーフなのかな。
「ねじまき鳥クロニクル」のときはなんだかよくわからず、理由もなく妻の兄を語り手が嫌っているように思えて、別に悪い人でもないのになんで嫌うんだろうと思ったように記憶するのだが、今回読んでいてその理由がわかった。
たぶん、村上春樹が言いたいのは、私たちがひとを嫌うときは別に悪い人でもない人を特に理由もなく嫌うものなんだ。それはどうしようもないものなんだ、ということなんじゃないだろうか。
嫌いな人に理由がある場合、そこが嫌いってはっきり言えるのだけれど、ほんとうはその感じというのはとくに何か理由があるわけではない。嫌いなのは大体においてなんとなく嫌いなものなのだ。
その感じを、とくに何かが解決するわけでもなく、上手に描いた短編だと思います。
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