シュワちゃんのこと

2005-05-21 09:59:07 | 市民A
b7687fa6.jpg昨年、米大統領選のことを書いたblogの中で、共和党は次の大統領選候補としてシュワルツネッガーカリフォルニア州知事を準備するつもりなら、「大統領は米国生まれに限定」という憲法の一部改正をしておく必要がある、と書いたのだが(冗談のつもり)、「Amend for Arnold」というグループが現れたそうだ。アーノルドのための憲法改正ということだ。ただし事態はなかなか難しいというのが、新潮社フォーサイト5月号にある米国人記者の意見だ。

そこで、そのあたりをもっと細かく見てみる。まずは、憲法第二条第一節にある大統領の資格である。原文はこうだ。
No Person except a natural born Citizen, or a Citizen of the United states, at the time of the Adoption of this Constitution, shall be eligible to the Office of President ; neither shall any Person be eligible to that office who shall not have attained to the Age of thirty-five Years, and been fourteen Years a Resident within the United States.
(何人も、出生による合衆国市民あるいはこの憲法確定時に合衆国市民でなければ、大統領となることは出来ない。35歳に達しないもの、また14年以上合衆国の住民でない者は、大統領となることはできない。)

読んで字の如しだが、最後の14年以上合衆国の住民という14年の根拠はよくわからない。この条文の中にも米領はどうなんだ?とか出生地がたまたま外国だった場合とか若干の疑問はあるのだが、米国の場合、問題が起きたときに考えればいいじゃないかという基本スタイルがあるので、そう深刻には考えていないようだ。

そして、アーノルド・シュワルツネッガー氏の資格はどうなっているかというと、1947年にオーストリア国民として生まれる(戦後派)。若い時はボディビルダーとして活躍する一方、渡米し、アメリカの大学へ進学。30歳にして、俳優としてデビューする。そして36歳でアメリカ国籍を取得している。現在58歳なので、14年以上の在住条件はクリアしている。

そして、彼の妻はマリア・シュライバー。NBCのニュースキャスターであり、民主党員。そして彼女はジョン・F・ケネディの姪である。そこを正確に言うと、ジョンの妹の一人のユーニス・ケネディの子供なのである。さらに、付け加えるとユーニスは少し前に長野で開催された、知的障害者のためのスペシャルオリンピックスの提唱者である(実はジョンの一つ違いの妹が知的障害を持っていたのだ。これも以前、blogに書いた記憶がある)。

つまり、バリバリの民主党の家系に共和党員が紛れ込んでしまったのがシュワちゃんなのだが、このネジレ現象は、政策的な問題にも及んでいて、民主党の牙城であるカリフォルニア州でなぜ共和党知事なのかというところになる。これを簡単に書くと、シュワちゃんの政策は、民主党の政策であるということなのだ。そのため、民主党の対立候補はもっとリベラルな政策を打ち出さざるを得なくなり、支持を集めることができないということらしい(同様の状況は、都市部の自民党にも共通)。ということは、奥様が政策を立てているのだろうか?

ところでフォーサイトの記事を読む限りにおいて、米国民は外国生まれの大統領就任をあまり支持していないようだとのこと。どうも、国境にトンネルを掘って、密入国してくるヒスパニック系のことが気になるらしい(英語のしゃべれない人物が大統領になることはなかなか難しいとは思うのだが・・)。そして、なんとなくだが、他にも彼が支持されないいくつかの理由があるようだ。

まず、ボディビルダー時代に「アナボリック・ステロイド」を筋肉増強剤として使っていたことがあると公表しているのだが、ちょうど50歳になる1997年に心臓手術を受けている。多くの人が20代の時だけではなく、ごく最近までステロイドを使っていたことが心臓手術の原因ではないかと疑っている。手術後の彼の肥満化は少し腑に落ちない。

次に、彼の父親のことだ。ナチス突撃隊(SA)に属していたことは、わかっているが、当時何をしていたかは判っていないそうだ。

さらに、共和党の新たな候補者として、ライス国務長官がやる気をみせている。さらにブッシュ弟フロリダ州知事も意欲満々だ(ただし、弟だと、さすがに「また、ブッシュか?」と言われそうでもある)。

そして、実は、妻のマリア・シュライバーもシュワちゃんの大統領出馬には乗り気ではなさそうである。それならケネディ家はどうなるかということなのだが、マリアの考えている究極の大統領候補は11歳になる長男パトリック君ということらしい。しかし、「35歳以上」と規定している憲法を変えない限り、それは24年以上も先の話となるのである。


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