事件は眼の前で起きた!

2005-04-28 19:43:53 | 市民A
856067e2.jpg外堀通り、溜池交差点近くにある石焼ビビンバ店で「事件」は発生した。
先週のある日(関係者に配慮し、ちょっと曖昧にする)、通常の昼間の仕事が終わった後、夜間の一仕事に備えて、夕方の早い時間帯にカウンター席に座る。店の造りは、多くの牛丼店と同様の全席カウンター。客数は夕方早かったこともあり、5人以上10人以下。近隣では結構有名な店で、一人で食事をする人には受けている。値段は相当安く、普通の石焼ビビンバで490円。カルビ丼とかその他いくつかのメニュウがあるが、最高でも600円台。きちんと焼いた石鍋に食材が乗せられ、卵の黄身と一緒に、自分で撹拌して食べる。

その時、店側は調理を担当している店長と、若い女性の従業員の二人だけだった。

事件は、あっと言う間に起きた。私の一つ空席をあけて隣の席のダークスーツの男が、食べ終わるやいなや、席を立ち、自動ドアの向うに消えたのだ。「食い逃げ」だ。無銭飲食ともいう。女性従業員が店長に報告し、店を出て探しに行ったが、30秒で帰ってきた。まあ、そんなもので深追いする手はない。暴力行為は危険だ。店長は石鍋を火にかけて炙っているので、これまた、外出は危険だ。

店の場所は、首相官邸の近くで、警官は日頃から多数歩き回っている。「無銭飲食」は担当外とはいえ、眼の前に犯罪者が現れれば、すぐに捕まるだろう。なにしろ重装備である。市街戦対応だ。(重装備過ぎて、無装備の逃走犯を捕まえるためには催涙弾の乱射しかないかもしれないが)しかし、犯人は、店の外に見える外堀通りの横断歩道の信号が青から赤へと変わる直前を狙っていたわけだ。思えば、上着を着たまま、食事をしているのは暑そうだな、と一瞬感じていたのだが、逃げることを念頭にしていたのだ。

問題は、この後だ。この「食い逃げ」というのは、きわめて後味が悪い。何か、従業員の責任のような感じになってしまう。そして、店内には、嫌な空気が流れるのだ。私の席は、入口(逃げ道)に近いところだったので、「オレは違うゾ!」って言っておきたいのだが、口にするわけにはいかない。気が弱いので、まだ食事中なのに、すでに財布を取り出して支払う財力があることを示しておく。

他の客も、急によそよそしく食事を進める。見て見ぬ振りというわけではないが、従業員がかわいそうになるのだが、どうすることもできないので、気まずくなるのだ(だからと言って、格闘までして取り押さえようとまではしないけど・・。焼けた石鍋が店内を飛び交ったりしたら最悪だから・・)。

店長の落ち込みもヒドいのだが、収支的に考えれば、つり銭間違いで現金残高が合わないことと同じなのだが、気分が違うのだろう。つまり、1食ずつ、鍋を適温に焼き、ゴマ油を塗り、食材を盛り付け、一人一人に配膳するという行為は、値段が安いと言っても、牛丼店とはかなり異なる。「調理」なのである。おカネを払うと言う行為は、食事に対する対価であると同時に調理に対する謝礼でもあるわけだ。だから「食い逃げ」は気分を害する。つり銭間違えは単に自分のミスなので、気分を害することはないのだ。しかし、数百円の被害では警察沙汰にはならないだろう。手間がかかり過ぎる。

さらに、もう一つ、嫌な気分になるのは、その時、着席していた来店客の一人は、40歳くらいの白色系外国人である。日本の恥を見られてしまったわけだ。あーあ。彼の本国向けのWeekly Reportには、「日本料理の最高傑作は石焼ビビンバであるが、一部の客はこの高額料理店で無銭飲食を企てるのであるが、裕福な日本人たちは、一向にとがめることもない」と書くのである。

そして、私も犯人の顔を覚えているわけでもない。都会のマナーというか、カウンター席の隣人の顔を覚える趣味はないので、逃走するまでの記憶はほとんどない。記憶があればここに人相書でもさらすのだが、残念だ。

できることは、犯人に投降を呼びかけることだけだ。
「早く自首しなさい!!現場に落ちていた髪の毛から、君の遺伝子情報は特定されている。溜池交差点のビデオカメラにもはっきり画像が記録されているのだぞ!」


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