田勢康弘氏講演会

2006-01-26 00:00:06 | 市民A
f9b1b734.jpg先週末、田勢康弘氏の講演会へ行った。日本経済新聞社に所属するコラミストという妙な肩書きだが、おそらく社内の定年制とかの関係で、社員のような社員でないようなという微妙な位置に座っているのだろう(と勝手に憶測)

1944年中国で生まれ、日本経済新聞社記者として政治畑を歩む。1996年には「政治ジャーナリストの罪と罰」という名著を書き、栄えある”記者クラブ賞”を受賞。日経という「経済紙の中の政治記者」という微妙な立場が、逆に彼のような個人パワーのある人間を作ったのだろうと推測。朝読の記者の方は何人かずつ知っているが、要するに良い記事を書くということと良い地位を得るということが、直結しない(というか無関係というか)ところから、何か言動に信用できないところがある(逆に日経の経済部門の記者はどうかと言えば、感情を表に出さない人が多いように思える)。

講演会は夜7時から東商ホールで行なわれたのだが、「小泉後の日本政治はどうなるか」という、漠然としたテーマ。「特に原稿は用意しないよ、まじめに聞かないでほしいな」というようなテーマではあるが、政治記者に未来の予測ができるわけでもないことは自明のことだから、まあいいかな。

まずは、小泉総理のことから。
誰でも知っている血筋のことや、信長と決定的に違う「性格の臆病さ」について例をあげて紹介。中曽根元老からクーデターと言われた「永年保証の議席を奪った」ことや、田中真紀子外相を「クビ」にした時の小心行為が笑いをとる。そう言われると、平服で賽銭のコインを投げた「みっともなさ」も、彼の行動形態としてはわかってくる。資産に対する欲望もなく、もっとも親しい友達は土井たか子ではないか、と田勢氏は言う。役所や会社という団体に所属したことがなく、慶応大を+2年で卒業後、ロンドン大学で遊学中に、親の訃報を受け政界入りしたので、もとより派閥的行動というのがわからないのだろうということらしい。

そして政策課題は、信長のように、すべて反対者をつぶしながらここまできたものの「皇室典範改定」だけは無理ではないか?という読みが出た。唐突すぎて、「なぜ、今・・」という声が多いそうだ。次に、昨年の総選挙の話。まず、昨年の衆院解散直前のドタバタについてだが、例の小泉-森会談の直後に、森氏がテレビカメラの前で潰したビール缶と乾燥チーズを手にもって、首相の「死んでもいい」という発言を紹介した段を、「芝居ではないかと思っている」と発言。(私は、見て1秒後に「下手な芝居だ!」と確信したが、案外、真に受けている人が多いらしい。私は「クールビズ」も選挙用に準備された仕掛けの一つだろうと見ている。)そして、自民優勢という状況で迎えた投票日直前に自民党本部に入る小泉総理を自民党本部の職員が迎えるとき、全員が起立して迎える、という図は、数年前の北朝鮮と同じだそうだ。(ホワイトハウスでもブッシュになって、毎朝こうなったそうだ。ブッシズムというらしい。)

そして、今年の総裁選の大きな要素として、今回の83人の新人議員の動静が大きいと分析。つまり、今、噂される候補でも、83人の存在を無視しては、小派閥においては20人の国会議員の推薦もあぶないのではないかということだ。

そして、総裁選の話。
まず、早期退陣説が浮上しているが、そういう説が流れている限り、任期いっぱいまでやるのではないかということ。そして、本当は、どういう流れになるかわからないが、という前提での発言だが、首相が次の候補として強く希望している人物は、「誰もいない」のではないだろうかということらしい。特に「安部」とは絶対に思ってないだろうと。要するに「節のない青竹」だからだそうだ。ただし、あえて心の中にうっすらと映っている名前は、「1.竹中、2.武部、3.中川(秀直)」ではないかと予想されていた(私も竹中だとは思うが、そこに誘導するプロセスが問題なのだが、そこに例の「小泉命の83人」が登場するのかもしれない)。

後段のQ&Aの時間に、「小泉続投の可能性は?」というQがあったのだが、確かに、政権交代直前に、支持率が上がっていくというのは史上例がないと前置きし、好きなオペラや映画、書籍などのタイプから言うと、惜しまれながら拍手をもって去るのが好きそうだ、ということから「一回は退陣し、消費税増税と外交問題で次期政権が短期でボロボロになるのは目に見えているので、選挙用にもう一回再登板するのではないか」とシニカルに予測していた。(細川護熙と陶芸の釜を並べるのは、そのあとかもしれない。)

ということで、なんだかゆるい感じの講演会は終了。個人的感想からいうと、田勢氏の話は、ちょっと話の筋立てが長く、一つの文脈が終わるまで結論がどこにいくのか見えにくいことが多く、ちょっと聴くのが辛いところがある。部下をずいぶん泣かせただろうと推測。そして、竹中以外に私の予測する次期総裁候補は、もう一人の中川である中川昭一ということにしておく。  


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