シェイクスピアの魔力(野口卓著)

2011-09-28 00:00:57 | 書評
シェイクスピアの入門書である。作者の野口卓氏は脚本家で、また古典落語に詳しいということになっている。

shakそのライン上で考えると、シェイクスピアの紡ぎ出すストーリーはテレビドラマや新作落語にそのままつながるということもいえなくもない。

シェイクスピアで有名なのは、「ひとごろし、いろいろ」と言われているように1564年生まれで1616年没。私の好きな武将である藤堂高虎は1556年生まれで1630年没なので、ちょうど彼の人生の内側にある。1600年が関ヶ原の戦いである。

その時代に、史上最高の劇作家が存在したことが奇跡であり、たぶん、彼の書いた戯曲がグローブ座で演じられたことの延長線上に英国の革命があり、民主主義の復権があったのだろう。

劇作の世界では、ギリシア神話の後にシェイクスピアがあり、そのあとが現代劇となる。ブレヒトとかミラーとか。日本では、近松であり歌舞伎が自然発生しているから、それはそれとしてスゴイ。

で、本書では四大悲劇(ハムレット、リア王、オセロ、マクベス)とその次に続く有名作について、そのあらすじと関連作品が紹介される。


ところが、読者の私は、実はシェイクスピア作品はすべて日本語で読んでいる。大学入試が終わって、入学式までの2ヶ月の間に、シェイクスピア全集と源氏物語を読み切っている。(まあ、単に若かったのとおカネを持ってなかったからだろう。今なら絶対にそんなことはしないで、耽美的享楽に身を任せるだろう)

だから、本書を読んでも特に感情的なゆらぎを覚えるようなことはないのだが、実は、本書は明治書院の「学ぶやっくシリーズ第38巻」に当たるのだが、このシリーズの一覧をみて気付いたのだが、本シリーズの第1巻は「知的な人の馬券術」という書名で筆者は。本著と同じ野口卓氏。つまり、私は、馬券のプロの書いたシェイクスピア本を読んだ、ということになる。どうもこのシリーズは当初は、「東京ご利益スポット散策」とか「お金に愛される生き方」とか「つくる!日本の野菜」とか、そういう方面が中心だったようだ。

個人的には、このシリーズの中にある、「戦国軍師物」とか「大江戸吉原物」とかそういうのを追求してみたいなあ、と思っている。


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