NHK・かこ/げんざい/みらい

2004-12-16 14:35:35 | 市民A
NHK問題が賑やかだ。発端は、数ある不祥事が一気に開示されてきたことにより、受信料不払いが拡がっていることと、さらに海老沢会長の独裁ぶりに対する批判が合成されているわけだ。また労組もごそごそ動き始めているが、こちらは何を考えているのかよくわからない。
ただ、あくまでも政治的、経済的な問題で捉えられていて、あまり番組の質とか公平な報道というような点はおきざりになっているが、そこにも若干の懸念がある。

問題を整理すると、まず、海老沢氏の政治的独裁ぶりは、世間の企業にはよくあることで、その手の会社は今世紀になって、たいてい行詰っているが、そういう旧世紀的経営の方が好みの人間も多く、案外、旧世紀型人間とNHKの視聴者とダブっているのかもしれない。まあ、嫌いなら見るなということだろう。また労組にしても、旧組織の中から、新概念が生まれた例など、古今東西皆無だろうから期待しない。日産労組のようなもので、個々人の主張などどこにも感じられない低レベルの活動になるだろう。一説には組合費が月1万円を超えると、組合は支持を失うと言われるがNHKではどうなのだろう。ある有名労組は委員長の黒塗り車を廃止するにあたりドライバーを解雇したところ、逆に告訴されてしまった(この事件では、解雇通告を1年前に出していたためドライバーが敗訴。合法的リストラの判例を作ってしまった)。

で、問題を「受信料」という接点で、番組供給側(NHK)と視聴者側(あるいはテレビ所有者)という関係で捉えてみることにする。

1.現在(2004年)のNHKの存在理由
現在、普通の人が普通に見るのは民放である。新聞社と系列化していて、5系列。テレビをいくらみても一見タダだ(広告費は商品価格に上乗せになっているのか、新規需要の喚起となっているのかは見分け困難である)。しかし、一方、2割近い時間はコマーシャルを見なければならない。そして視聴率が下がると番組は中止になる。マイナースポーツとかニュース番組とかは切り捨て。要は視聴率が上がらない番組は生き残れない。

その中で、NHKは「民放の補完」になっている。要するに、低視聴率番組でも国民的には放送しなければならないから、国会中継や、大相撲、マイナースポーツ、そしてニュースなどだ。仮に放送法が改訂され、CMを取ることが可能になってもスポンサーはつかないだろうから「受信料調達方式」は「しかたのない合理性」ということになる。そういうネガティブな理由のため、罰則規定のない受信料は集まらない。カラー契約1395円。BS契約は2340円(カラー+945円)。少しでも集めるためにのど自慢の地方行脚をしたり、MLBと契約したり、芸能番組に触手をのばしているが、やや、質の面では支離滅裂という感がある。

2.受信料方式
現在、有料放送の徴収方法には、おおむね3種類ある(2種3様か)
まず、NHKやWOWOWのような、月額固定型である。これが
A.任意集金のNHK型と
B.強制集金のWOWOW型になる。
もう一つが
C.ペイパーヴュー(PPV)方式。見た時間だけ払うというもの。

実際は、NHKが受信できるテレビが1台でもある世帯は受信料を払わなければ、放送法違反になるが、罰金規定がない。一方、NHKが写らないテレビを買えばいいのだが、メーカーは作らない。(メーカーから見れば、NHKは高額でテレビ関係機器を購入してくれる超VIPユーザーだから、NHKの都合の悪いものは作らない。大崎駅前の電気会社が、きょう現在、世界規模の会社になった裏側にはNHKとの極限的タイアップがあった。また、NHKが写らないテレビを作っても売れるとも思えない)

結果として、膨大な人件費をかけて徴収しているが、かなりの不払いと不公正契約がまかりとおっている。(たとえば、旅館であれば、部屋の数だけの契約が必要だが、5台分だけとか妥協していたりするらしい)集金と振込みの総額受信料は6500億円だが、集金コストは何と818億円もかかっている。集める金額の12.5%が集金費用だ。振込比率を調べることはできなかったが、現金集金額より集金コストの方が高い可能性すら感じてしまう。

3.諸刃の剣である、ディジタル化
ディジタル化が完了した段階で考えられるのは、受信料未払い世帯に対する、視聴停止措置である。かなり簡単にできると思われる。しかし、これはある意味で、未払いの対価として受信しないという選択肢を作ることになり、早い話がWOWOWと同じになることを意味する。番組が民放を超えない限り、大いに契約者が減り、存在価値論議にまで発展するかもしれない。
一方、民放の中にも、CM収入頼りから、定額受信料やPPV方式に移行(あるいは部分的導入)することも可能になる。こうして、複雑的な受信料戦争がおこる可能性すらあるかもしれない。

4.NHKチャネルの量と質。
NHKのHPを見ると、NHK8チャネル方式だという。総合、教育、BS1、BS2、NHKハイビジョン、ラジオ1、ラジオ2、FMというわけだ。海外向けの短波放送とかなかったかなとも思うのだが、NHK自体が8と言っているので、いつのまにかなくなったのだろう。テレビは合計5チャネルだが、通常、全部足しても視聴率は民放1局分ではないかな。人や組織が大きい割りに、趣味のチャネルばかりになっている。総合テレビは定額受信料でいいかもしれないが、他のチャネルはPPVと定額方式の併用くらいにしないといけないのではないかな。もちろん総合テレビ分だけなら今の半額年間1万円程度だろう。5チャネルあっても、同時にみることはできないのだから。総花的な総合テレビと、ニュース専門チャネル、スポーツ専門チャネル、趣味の専門チャネル・・・というような作りにチャネルを分解してしまえばいいのではないかなと思う。

5.米国型か欧州型か
先日の、米国大統領選挙の開票速報をみていて感じたのだが、NHKはABC放送をほぼそのまま流していたわけだ。私は、CNN(日本語翻訳)と較べて見ていたのだが、これでは、NHKも民放だなって感じてしまった。MLBの中継と同じだ。おカネで番組買うなら、人間減らしたらどうだって思ってしまう。
将来、NHKは消滅して米国型の民放だけになるのか、あるいは欧州型のように国営放送+民放のようになるかだが、日本人にとってはたぶんいつものように中間型が居心地がいいのだろう。それと、高度のハイテク技術。英国では、BBCに料金を払わずこっそり見ている世帯を家の外から電子的につきとめる装置を使っているらしいが、完全ディジタル化になれば、一瞬にしてわかるはずだ。波乱要素は企業のCM離れによる民放の有料化で、それにNHKも巻き込まれていくという構造になった時、何か存在の意義を見出すことができるかどうかはっきりしない。

しかしNHKには、まったく期待はしていないので、おそらく今より視聴率は下がり、受信料のシステムはすっきりするかもしれないが、チャネルの割り当てを減らされて、企業規模を縮小して、こぶりでひっそりということになるのではないかと思う。

結局、向かうところは民放5社系列+小NHK+ネットテレビ無数というところではないかな。NHKの基本チャネルは1回線で料金は税込1200円。趣味チャネル1、専門ニュースチャネル1、マイナースポーツ1。で基本チャネル以外はPPV方式。案外、民放も有料化するかもしれないしね。

最後に、NHKの集金スタッフの方が困るのだけは確かだと思う。日頃は「低姿勢」を旨としているのだろうから、新聞拡張員に転職することも困難なのだろう。  


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