CSRレポートの講演会へ

2005-03-02 14:20:55 | MBAの意見
86cc0676.jpg日本経団連の下部組織である(財)経済広報センターのモニターをしている関係で、ちょくちょく講演会にかり出される(という言い方は間違いで、自分で出席する)。先週は経団連会館で後藤敏彦氏の講演を聞く。まあ、難しすぎる話はおいて、彼の持つ現代の社会観に感心した。

経済システムを文明史的にとらえると、農業→産業革命→石油時代(1859年ドレークの油田発見)→CO2の増加(1973年に吸収<排出)→持続可能型への転換の必要、という構造だ。

そして、国家と企業の関係が渾然とした現代では、国家のみならず企業にも責任は重いと言うことを数値的に示す。国家のGDPと企業の売上げをごちゃごちゃにして順番をつけると、ベスト100の中に企業が53、国家が47になるそうだ。20位までは国家で、21位がエクソンモービル。39位のトヨタの売上げは38位のタイのGDPとほぼ同じらしい。

そして、世界の多国籍企業は60,000社位あるらしいが、トップ500の中に米系が185、日系が108、英、独、仏計で100社だそうだ。やはり日本の企業は、自ら気付かぬうちに大きくなり過ぎているのだろう。

CSRとはCorporate Social Responsibilityの略で、地球の持続可能成長のための社会的信頼性であるのだが、結局、それをレポートにして発表するのがはやっているわけだ。もちろんニセモノも多い。見抜ける力も必要だ。まあ、残りの話は類推できるだろうから省略するが、こういう講演会につきものは、質問タイムに飛び出す「筋違いの質問」だ。質問の形をとって、自分の勝手な主張を振り回す人間だ。それがいたのだが、思わぬ方向へ向った。

質問は50代後半とおぼしき男性からで、企業の取り組みの中に「少子高齢化対策」を取り入れるべきだ。との主旨で、このままでは日本がダメになるというような主張なのだが、あくまでもCSRとは筋が違う。講師が怒るかと思いきや、違うことを考えていた

後藤氏は、「自分が生まれたのが昭和16年で人口8000万人、その後、日本は人口が1億2600万人まで1.5倍も増えたわけで、それが50年後に1億人に減ること位、どうってことないじゃないか。」という楽観論。さらに驚いたのは、「日中韓が減少に転じるのと同様、これから世界中の生活水準が上昇していけば人口は減るしかないじゃないか。」と超越している。「だから人口減少はたいした問題ではない」と言い切っていた。ある意味、なるほどだが、少し異論はある。

人口増加率は年間2%ペースから、今は1%程度に落ちてきている。エネルギーの効率化で十分に対応できる範囲であると思うし、おそらく均衡するだろう。本来は海洋植物性微生物がCO2を吸収するメカニズムなども解明すべきかもしれないが、それでいいとも思えない。海水の95%は深層水という安定した状態にあり、あまり微生物は含まれていない。例えば海水を攪拌して表層水の量を多くしてやるとか考えられるのかもしれない。しかし、CO2を海水中の植物性微生物がすっかり取り込んでしまうと、大気中にCO2がなくなり、陸上に植物自体が生息できなくなる。これでは大失敗だ。ほどほどに。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿