一番じゃなくてもいいのではないか(川越)

2017-08-09 00:00:25 | たび
ところで、本題の前に、先週、本ブログで築地(築地活版印刷所の解散)のことを書いたら、築地で火災が発生し、もちろん建築基準法で言う「既存不適格物件」のため、建替えは困難だろう。さらに、おそらく借地権であっただろうから、上物消滅とともに権利は失効ということだろうか。

どうも、「書くとその後に災難が起きることが多い」と感じているのだが、実は来週書こうと思ってFACT蒐集中のネタは、後で災難が起きると本当に困ることなので、ちょっと身構えてしまう。

一方、前の戦争の開戦直前に不思議な解散をした築地活版印刷所だが、その時に使っていた活字一式を引き受けた会社が横浜市内で営業を続けていて、現在「築地活字」と名乗っていることが判った。名刺100枚で5500円らしい。



さて本題を始めると、数週間ビールの頂き物が重なり、飲み続けているのだが、その中で「COEDOビール」という地ビールが埼玉県の川越市で造られていることがわかった。川越のことを小江戸というようだ。

あまり史事にのめり込みたくないが、川越の街を作ったのは、太田道灌だ。つまり江戸の開闢者と同一人物。どうも江戸と川越と両者を結ぶ川越街道はセット商品として設計された。どうしても江戸と北関東を結ぶ、「大河を渡らない街道」が戦略上必要だったようだ。「おおた」という姓は、ドラマ等でも「犯罪者用の陰気な姓」になっているのだが、関東の豪族の多くは謀略に長じた作戦を多用していた中で、太田道灌は正攻法を愛し、江戸中心で戦っていた(が、伊勢原で入浴中に謀殺された)。

そして、近年、川越の重厚な街並が、今や江戸にはまったく存在しない本物の江戸時代の香りを実感するために世界中から多くの観光客を集める街になっていた。しかも、メトロ副都心線と東横線と東武線と西武線が有機的に繋がったため、横浜からあっという間に川越に着くことが判明した。



ということで、川越でしか飲めないCOEDOビールの希少品種を求めて、出発。どうも地理に不案内で、「川越市」「川越」「本川越」という三つの駅の関係もよくわからず、「川越市」に着いたのだが、これがもっとも小さな駅らしい。どこにも江戸情緒はない。

しかも、最近、川越市民が突如声高に主張始めた「日本一」がある。それは日本最高気温。瞬間的な最高気温はともかく、いつもずっと暑い街というと、熊谷とか館林が有名なのだが、「どうも川越の方が1~2度暑いのではないか」と唱え始めたのだ。気象庁の観測網から外れているということらしく、日本一を主張するために、現在、データを集めているようだ。

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ところが、それって街にとって都合がいいことなのだろうか、と思ってしまうわけだ。観光地であるし、基本は街を歩くというスタイルの観光地なので、『日本一暑い』というのはプラスポイントなのだろうか。かつて、「二番でもいいのでは」と発言して、総理大臣になるのが10年遅れた女性政治家がいたが、本件は、二番どころか十番でも二十番でもいいような気がする。

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持参した塩飴をなめながら駅から歩き始めたのだが、塩飴というのは、なめると汗がでるようになっていて、普段より大量に汗が流れる。暑いというよりも熱い! が、かつて夏の中東に行ったことがあるが、まあ川越はそれほどでもないかな。ただ、中東の平均寿命は日本よりかなり短いから。

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そして、本川越駅から続く観光地用の街並みは、倉敷のような人工的な時代劇セット風ではなく、近世と現代が融合したまったくタイムマシンタウンになっていた。問題は、街並みの中をバスや乗用車が行き交うので、交通事故の危険が伴うのと、なにしろ店舗に比べて人が多すぎるので、食事や喫茶をしようにもどこの店にも長蛇の列があること。

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ということで、中華街のように「食べ歩き」の街と化していた。ということで、COEDOビールの新種である、恋あかり「朝虹-Asaniji」とか「月下-Gekka」とか、どうも正しいオーダーが伝わったかどうかは不明のまま、ゴクゴクとプラカップでぐい飲み。結局、あちらでも、こちらでも、ランチでもどこでもCOEDOビールを飲み続けることになる。

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そして、街のランドマークになっているのが一つが「りそな銀行川越支店ビル」。もう一つが「時の鐘」。オリジナルは江戸時代の初期(1630年代)に建てられたとされる。川越城主である酒井忠勝が作らせた。現代のタワーは平成8年の作だ。城下町を管理するのに、時間管理を始めたわけだ。実は、鐘を撞くには、正確な時間管理が必要で、地球の構造上、夏と冬では日中時間が変わるので、どうやって管理していたのだろうか。あるいは各都市には天文学者がいたのだろうか。


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