もういちど(畠中恵著)

2023-04-12 00:00:21 | 書評
しゃばけシリーズの第20巻目。毎年1冊発刊で、今年は22巻目が出るのだろう。源氏物語54帖(一説には60帖)にはまだ遠く届かない。



主人公の一太郎は病弱ではあるが大店の後継ぎ。母方には妖怪の祖を持ち、人類には見えざる存在の妖怪たちと交流することができる。江戸時代が舞台で、その頃は妖怪の力は絶大だった。ITがなかったからだ。

一太郎の周りを取り巻く妖(あやかし)たちの活躍によって事件が解決するという時代劇+ファンタジー+ミステリーという構造になっている。

今回のテーマは、気候変動。そして、一太郎の再生。ある年、日本全国が日照りに襲われる。水がなくなり、作物が育たない。長雨だと不作になるが日照りでは何一つ育たない。そのため多くの社会不安が起こる。

そして、一太郎は暑さで体力をさらに奪われないように避暑地に向かうのだが、その途中の船旅で大嵐に巻き込まれ意識不明状態になる。

そして九死に一生を得た後で目覚めると、20年ほど前の姿、つまり赤子になっていた。困り果てたのは取り巻きたち。後継ぎの青年がいなくなり、幼児があらわれたら、普通は犯罪発生だ。

その後、避暑地に隔離中に異常な速さで成長し、失われた時間の辻褄が合うのだが、そこで連想したのが、古代天皇の年齢。

神武天皇はじめ何代かの年齢はギネスの長生き記録を大きく更新する140歳も含め100歳以上がずらっと並ぶ。それをどう考えるかという「解いてはいけない謎」があるのだが、一つ合理的な説があるそうだ。それは、古代の天皇の時代は、天皇は1年に2歳年をとっていたということ。

ただ、この説は「『1年に2歳年をとる』という文献がある」ということではなく、「そう考えれば合理的だ」という仮説ということになっているわけだ。

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