『無精床』『都々逸親子』『転宅』

2023-07-24 00:00:28 | 落語
北海道から帰って、また落語を聴きはじめる。どうも話の長さは「20分」「40分」「60尺」三種類の尺があるようで。とりあえず「20分尺」を聴きはじめている。音声で聞いているため、落語家の技の一つである身振りがわからないので、観客の笑い声の意味が解らないこともあるが、仕方ない。

最近聞いたのが『無精床』『都々逸親子』(演:柳家権太楼)、『転宅』(演:柳家さん喬)。

『無精床』
床という意味が、「ふとん」のことだと思って、布団を敷きっぱなしにしている男の失敗談のことかと思ったのだが、実際は「床」=「床屋」ということで、無精な床屋の店主のところに無精な客がやってきて、無精合戦をする展開になる。最後は耳を剃刀で切り落とそうかということになる。

ところで、床屋はヘアーサロンと言い始め、美容院はビューティーサロン。理容師と美容師の大きな差は剃刀の髭剃りということらしい。

最近は首切り殺人まで起こるようになり、耳切りぐらいでうけるのかなと心配になる。落語の筋も首を切り落としてしまう、に変えなければならないかな。


『都々逸親子』
これも都々逸のルールを知らないと苦しい。江戸時代に都々逸坊扇歌(1804年-1852年)によって大衆化した七・七・七・五の文字で読む主に口頭詩。発展した一方が御座敷芸としてであり、したがって色っぽい方向にあり、もう一つの庶民芸の方向は生活密着型の方向になる。

『都々逸親子』は親子で同じ題目で都々逸制作合戦をする話で、子どもの方が「色っぽい艶歌」を連発することが笑いを産むのだが、親子の声を語りわけるという技術的な問題があって、簡単そうで難しいのかもしれない。この音域を変えるという芸が女性には難しいという理由で、女性落語家が少ない理由とも言われるが、よくわからない。

『転宅』
話の筋の展開が切り分けられていて、ストーリー性が高い。まず登場するのが、「お妾さん」。旦那からお手当をもらっているのだが、そこに忍び込んだのが泥棒氏。旦那の食べ残した豪華な食事を食べ漁っているところを妾に見つかると、こんどは刃物を突き付けてもらったお手当を渡せと居直る。いわゆる居直り強盗に変わる。次の展開は、この妾が「私ももとは泥棒だった」と身の上話を始める。そして話芸で、泥棒との結婚をちらつかせる。旦那とは手切れ交渉中で、慰謝料の大金が入る予定と打ち明ける。そして両者結婚に合意したのだが、今夜は旦那と最後の金銭交渉をするので、明日来てくれればいいといって、泥棒の財布の中から金を借りてしまう。そして最終展開として、翌日、泥棒氏が宅に行くと、もぬけの殻。近所の人に聞くと、「間抜けの泥棒から金を巻き上げたので、長居はできない」として転宅してしまったことを告げられるわけだ。

話が短くストーリー性があるので、落語家にとっても間違えると修復不能な致命傷になりそうな筋立てだと思う。オチの部分が何種類かあるようだ。